2012年03月31日

偽名簿問題を整理し、橋下市長・杉村市議らの責任を考える

 大阪維新の会の杉村幸太郎・大阪市議の偽名簿による疑惑でっち上げと、それを利用した橋下市長や大阪維新の会市議団の責任逃れと開き直りがあまりにひどいので、久しぶりにブログを書くことにした。

1 事実経過
 この件で重要なのは事実経過だと思うので、この間の報道や、当事者の証言をもとに事実経過をまとめてみた。

2月1日
杉村市議が元職員から「知人・友人紹介カード配布回収リスト」を郵便で受け取る(※10 3.31読売)

2月6日
杉村市議が「知人・友人紹介カード配布回収リスト」の存在をマスコミにリーク。当日の夕刊、夕方のニュースから大きく報道された。一方、交通労組は「根も葉もない話で、弁護士と協議して対応を決める」(※1 2.6毎日)

この日の橋下市長のつぶやき

橋下徹(@t_ishin)
国が何もルールを作らないか ら大阪市では条例を作ります。以下、大阪市職員組合の実態です。http://t.co/Oble56b8 http://t.co/TJqOnfvG
posted at 16:25:31

橋下徹(@t_ishin)
大阪維新の会が情報収集したものですが、今回のえげつなさは、地公法の対象である幹部職員も含まれていること。そして何よりも組合が幹部職員も含めて、従わない場合は不利益を与えると脅していること。一体どちらが上司なんだ?そしてこの証拠書類に関して市長選挙後上司から廃棄命令が出ていた。
posted at 16:28:57

橋下徹(@t_ishin)
職員組合が、選挙戦に協力しなければ不利益があると組合員に脅しをかけている。この不利益とは何なんだ?考えれば 簡単。人事上の不利益でしょう。と言うことは、組合が人事に関与しているということ。一体大阪市の組合とはどういう存在なんだ?
posted at 17:02:41


2月7日
橋下市長がリストの信憑性について調査する方針表明(※6 3.27毎日)

2月8日
元職員が「偽物をつかませてしまったかもしれず、申し訳ないことをした」とのメールを杉村市議に送信(※10 3.31読売)

2月9日
橋下市長が市職員に対する実名でのアンケート調査の実施を表明。職員基本条例づくりの参考にすると表明(※2 2.10産経)

2月10日以前
杉村市議は美延映夫・維新市議団幹事長に市議会での質問内容の相談を受けた。独断ではなく、団の指示で質問(※11 3.31読売)

2月10日
杉村市議が「知人・友人紹介カード配布回収リスト」問題について大阪市議会市政改革特別委員会で「交通局と組合が組織ぐるみで市長選挙に関与していたことを裏付ける」「信憑性が高い」と交通局を追及(後述の反訳参照)

3月2日
大阪交通労組が氏名不詳者について偽造公文書行使、偽造私文書行使などの罪で大阪地検に告発状提出(※3 3.3産経)

3月14日
維新市議団が地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで大阪地検に告発(※6 3.27毎日)

3月27日
元職員が名簿のねつ造を認める。交通局が懲戒免職処分。
橋下市長「議員の仕事は問題提起だ。捜査機関と同じだけの容疑を裏付けてからじゃないと質問もできないなら、役所の追及はできない。維新の指摘を受けて市が調査し、組合のぬれぎぬを晴らした。何の問題もない」(※7 2.27読売)

3月30日
杉村市議、坂井良和維新市議団長、美延映夫・維新市議団幹事長の記者会見。
坂井団長「組合を犯人扱いしたことは一度もない」として謝罪を拒否
杉村市議「組合に聞いたら誠実な答えが返ってくるのか」(※11 3.31読売)

橋下市長記者会見
「委員会は疑惑について確認する場であり問題はない」
「(組合側に)ウラを取らなかったという責任はもちろん維新の会として正当化するつもりはないが、組合に対する印象を悪くしたというのであれば、それはメディアが報じたことが最大の原因」(※13 3.31MBS)

2 ポイント
 一連の事実経過についてポイントは下記各点だと思っている。
(1)杉村市議はリストの信憑性(民事訴訟法で「成立の真正」という)を確かめずにマスメディアに公表したこと。
(2)橋下市長も杉村市議がマスコミに提供した事実を前提に労組批判をしたこと
(3)リスト作成問題が憲法違反の疑いのある職員アンケート調査の呼び水となり政治的な正当化根拠になっていること
(4)杉村市議は情報提供者である元職員が偽物の可能性を指摘しているのに、それを市会の委員会で取り上げ、リストが真正のものであることを前提に交通局を追及し、労組批判をしたこと
(5)杉村市議の市会での質問は大阪維新の会市議団執行部との相談の上、市議団の指示によるものであること。
(6)おそらく、橋下市長も質問の前に事実関係を把握していたこと

3 杉村市議、橋下市長、維新市議団の政治責任を考える
(1)法律上の責任は・・
 僕は法律家なので、法律上の責任についてちょっと調べてみたが、せいぜい、民事上の損害賠償、謝罪広告の可否の問題のようだ。これは所詮、銭金の問題だし、答えが出るのに時間がかかるので省略する。政治家の政治活動について刑法上の名誉毀損罪に問うこともかなり困難が予想される。

(2)杉村市議の議会発言を反訳してやった
 問題は政治責任だ。ここで確認しておくべきなのは、杉村市議はこの問題で一体どんな発言をしていたか、ということだ。頭に来たので市会ホームページの動画を反訳してしまった。
2012年2月10日大阪市議会市政改革特別委員会杉村幸太郎市議の質疑
動画の23:42〜
杉村:維新の杉村でございます。市政改革特別委員会の目的にあります「市民の信頼回復、市民の意見を反映した市政運営の確立に向けて市政改革を総合的かつ着実に推進するため調査研究を行う」とります。その目的をもって質疑に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。
市政改革をするにあたっては、市長も言っておられるように、大阪市役所と組合の体質についてリセットする必要が絶対不可欠であると考えます。私は年末の交通水道委員会において、交通局本局庁舎内で、市長選挙前には平松・前市長の推薦者カードが勤務時間内に配布されたり、選挙期間中には候補者を支援する内容の労働組合の新聞が卓上に数回にわたり配布されているとの指摘をさせていただきました。この事に関して、今般、「知人・友人紹介カード配布回収リスト」という、まるでそれを裏付けるような書類がある交通局職員から私に提供されました。交通局本局庁舎内にあったとのことです。内部告発であります。このA4用紙からなる書類は、鉄道事業本部、車両部などに所属する職員1867人もの名簿リストで、三十数枚に及びます。氏名だけではなく、職員一人一人に設定された7桁の氏名コードとともに、カードの配布・回収状況までが記載されております。そして、名簿リスト下段にはこのような文言が記載されておりました。「大阪市労連では組合員が一丸となって知人・友人紹介活動に取り組み、平松市長を積極的に支援していくことが決定しています。知人・友人紹介カードを提出しない等の非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝え、それでも協力しない場合は、各組合の執行委員まで連絡してください」との文言。このような名簿リストが局内に存在したということは、交通局と組合が組織ぐるみで市長選挙に関与していたことを裏付けるものだと考えます。この名簿リストが当局内に存在していたことについて、交通局としての見解はいかがでしょうか。

交通局職員課長:お答え申し上げます。委員ご指摘の名簿につきましては、今回お示しいただいて初めて存在を知ったものでございまして、これまでもこのような名簿の存在については、承知していなかったところでございます。

杉村この情報は匿名ではなく、氏名等を名乗った上での提供であり、私自身も提供者に度々会ってお話をお伺いいたしております。告発者が名簿リストを入手した日時・タイミング・経緯等から勘案しても、信憑性も非常に高いと思われますし、名簿原本の紙(ペーパー)の材質は、ぱっと見たところ、局庁舎で使用されている再生紙に酷似しているとお見受け致しました。また百歩譲って出所が怪しいというのならば、告発者が提供情報をねつ造しようにも、しようがないお立場の方だ、ということだけは申し伝えておきます。このような情報を流用できるとは到底思えません。ちなみに誰の手元からどのような状況で出たものかということも私は聞き及んでおります。が、しかし、告発者保護の観点から、告発者が特定される恐れがあるため、差し控えさせていただきます。その職員さんによると、執務場所においてこの名簿リストを入手したとのことであります。そもそも執務場所にこのようなものが存在すること自体が大きな大きな問題であると考えます。市民の皆様に大いなる疑惑を抱かせてしまったと思われますが、当局としてはどのようにお考えですか。
〜以下、交通局、組合ぐるみの名簿作成を追及〜

 すでに述べたように、この時点では情報を提供した元職員自身から虚偽の可能性を指摘されていた。そうであるにもかかわらず、杉村市議は、上記の通り、リストの信憑性は非常に高く本物であることを前提に交通局と労働組合の「組織ぐるみ」の選挙を批判し、大阪交通労組が職員の締め付けをやっていた虚偽の事実まで明確に述べている。これは橋下氏が言い訳するような「市会で真偽を明らかにする」というスタンスではない。リストが真正なものであることを前提に交通局、大阪交通労組の責任追及をしているのである。

(3)橋下市長も杉村市議も自らの行為責任をまともに認めていない
 しかし、橋下市長はこの件について、市民に対して謝罪はするものの、それは、情報漏洩した職員=杉村市議に密告した元職員が市民を「お騒がせ」して迷惑をかけたから上司である市長として相済まぬ、というスタンスのものであるように見受けられる(※5 3.26読売)。自らがツイッターを含めて虚偽の事実を流布して交通局や大阪交通労組を批判したことについては何も謝罪していないし、虚偽の事実をもとに正当化した職員へのアンケート調査についても何も誤りを認めていない。要するに自らの行為について何も責任は取っていないのである。もちろん、大阪維新の会の代表としても組織と所属議員の責任を何も認めていない。組織のマネジメント云々を力説する橋下市長が自らと自分が代表を務める組織の一員がやった行為について異常に甘い、というか誤りすら認めないことは、言行不一致だし、甚だしい不正義だ。
 これは杉村市議にも共通した姿勢で、上記のように「市議団の指示でやったので個人責任はない」と開き直っている(※11 3.31読売)。

(4)類似、近接事例との比較
 この件と比較したい事例がある。一つは例の民主党・永田議員のメール問題(wikiでは「堀江メール問題」となっている)。もう一つは九州電力の再稼働に関連して、経産省が主催した佐賀県民への「説明番組」についての九州電力によるやらせ指示メールを追及した共産党の事例だ。

 永田議員メール問題では、虚偽のメールに基づいて永田議員が国会質問を行ったことで、当時の前原誠司・民主党代表は辞任に追い込まれた。Wikiによると辞任理由は「永田議員を辞職させられなかった」らしい。そして、それを受けて永田議員も辞職に追い込まれている。当時、民主党は国会で野党であり、政府の不正を率先して追及する立場だったが、それでも「本物かどうか確かめていたら政府与党を追及できない」などという醜い言い訳はしなかったと記憶している。

 共産党が追及した九州電力のやらせ指示メールでは、2011年7月2日にしんぶん赤旗がスクープ記事を飛ばし(※14)、7月6日の衆議院予算委員会で党所属の笠井議員が政府を追及した。この追及で九州電力の社長を辞任に追い込み、再稼働間近とされていた玄海原発2,3号機はこの記事を書いている今でも再稼働できないままになっている。共産党はこのやらせ指示メールの曝露で政府の原子力政策に大激震を与えたのだ。
 この先は「もしも」の世界だが、もしこの「やらせ指示メール」が虚偽だったら、志位委員長を始め共産党の執行部や、国会で追及した笠井議員は「本物かどうか確かめていたら原子力政策の追及はできない」と開き直れただろうか?答えは永田メール問題を見ても分かるように明白に「否」だろう。党委員長と国会議員の首が飛んでいてもおかしくない。共産党もそれは分かっていたはずで、念入りに真偽の調査をしているはずだ。

(5)橋下市長、杉村市議は責任を取りなさい
 政治家は正当な政治活動上の発言について名誉毀損に問われることはほとんどない。そうである以上、その発言の裏付けは厳重に行われなければならないし、失敗したときの政治責任は明確に取らなければならない。
 まず、杉村議員は裏付けも取らずに、交通局、大阪交通労組の名誉を毀損し、マスコミ公表と議会質問を通じて大阪市民と国民に虚偽の事実を流布したことについて、責任を取って辞職すべきだ。質問を事前に把握していたのにそれを許容し、指示した美延映夫・維新市議団幹事長ら市議団執行部も同罪であり、総辞職すべきだ。
 次に、橋下市長は、維新の会代表として杉村市議の質問予定を事前に知っていたはずだし、知らなければそれはそれで管理責任がある。前原氏の前例からいっても、最低限、大阪維新の会の代表を辞任すべきだろう。また、いつの時点でそう思ったのか定かではないが、橋下市長自身も「法律家として危ないと感じていた」(※5 3.26読売)のだそうである。そうであるのに尻馬に乗って労組を批判したのであれば、市長としての政治責任も問われる。味噌も糞も一緒くたにして公務員攻撃をし、それを足場にして憲法違反の疑いがある思想調査を行い、今も様々な形で公務員バッシングを続けていることについても、職員と市民に謝罪し、けじめを付けるべきだ。この際、いさぎよく辞職されてはいかがか、というのは言い過ぎだろうか。

参考にした新聞記事
※1:大阪市長選:組合が選挙協力強要か 拒否「不利益」、維新市議が文書公表(2012年2月6日毎日新聞)
※2:大阪市「政治活動から決別」宣言 全職員の実態調査実施へ(2012年2月10日産経新聞)
※3:職員リストは「中傷目的の捏造」大阪交通労組、告発状提出(2012年3月3日産経新聞)
※4:大阪市長選職員リスト、嘱託職員の捏造と断定(2012年3月26日読売新聞)
※5:橋下市長「法律家として危ないなと感じていた」(2012年3月26日読売新聞)
※6:大阪市交通局:市長選リスト問題 捏造断定 何のため 組合「犯人視責任を」、維新「追及問題ない」(2012年3月27日毎日新聞)
※7:支援リスト 嘱託職員、捏造・告発認める(2012年3月27日読売新聞)
※8:橋下市長、無責任すぎないか 労組攻撃材料の捏造問題 大阪 「組合が脅している」と断言 思想調査の口実にも(2012年3月28日しんぶん赤旗)
※9;リスト問題で維新「見抜くの至難」 他会派は「開き直り」と反発(2012年3月30日産経新聞)
※10:元職員「偽物かも」と維新市議にメール…追及前(2012年3月31日読売新聞)
※11:捏造リスト 「質問は市議団の指示」(2012年3月31日読売新聞)
※12:橋下市長「市民をお騒がせした」…捏造問題陳謝(2012年3月31日読売新聞)
※13:リストねつ造問題 橋下市長「質問には問題なし」(2012年3月31日MBSニュース)
※14:九電が“やらせ”メール 玄海原発再稼働求める投稿 関係会社に依頼 国主催の説明会(2011年7月2日しんぶん赤旗)
posted by ナベテル at 18:39 | Comment(9) | TrackBack(0) | 社会・経済

2011年05月14日

原子炉は津波の前に地震で壊れた?

 一昨日あたりから、福島第一原発の1号機について、一番内側の圧力容器だけではなく、その外側にある原子炉格納容器についても穴があいていて、そこから外(すなわち防護のない外界だ)に水が漏れている、という報道がされている。
1号機は「メルトダウン」…底部の穴から漏水
読売新聞 5月12日(木)22時55分配信
東電は、圧力容器の温度は100〜120度と安定しているため、事態がさらに悪化する可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、格納容器を水で満たす「冠水(水棺)」など事故収束に向けた作業は難航も予想される。

 あれ?これ、いつ壊れたの?今まで聞いたことがない話だし、記事では原因に言及されてないので、東電は原因を説明しなかったのだろう。

 格納容器はとても頑丈な容器である、と聞いている。最近になってぽっかりと穴があいたとは考えがたい。さかのぼると、1号機が水素爆発したときか、さらにさかのぼって震災そのもので壊れたと考えるのが分かりやすい。そして、震災の報道をたどっていくと、ごく初期に次のような報道がされていたことを思い出した。
福島第1原発・正門付近の放射線量、午前8時前に73倍に激増
産経新聞2011.3.12 10:20
 原子力安全・保安院は12日、福島第1原発正門付近の放射線量が同日午前7時40分現在で通常時の約73倍に当たる5・1マイクロシーベルト時だったと発表した。前回の発表では通常の約8倍で、放射線量は急激に増加している。

 また、次のような報道もあった。
福島第一原発、中央制御室で1千倍の放射線量
読売新聞 2011年3月12日07時10分
 東日本巨大地震で自動停止した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の正門前で、放射線量が通常時の約8倍、1号機の中央制御室では、同約1000倍に達していることがわかった。

 経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が12日午前6時過ぎ、記者会会見して明らかにした。

 制御室の線量は毎時150マイクロ・シーベルト。そこに1時間いた場合の線量は、胃のレントゲン検診の約4分の1程度に当たる。

 同原発1号機では、格納容器内(建屋)の圧力が異常に上昇し、同日午前6時現在、設計値の約2倍に達している。経済産業省原子力安全・保安院によると、この圧力の異常上昇は、圧力容器(原子炉)から放射性物質を含んだ水蒸気が建屋内に漏れたことで起きていると見られる。圧力の高まった水蒸気が建屋から漏れ出し、施設外建屋外の放射能レベルを上げている可能性が高い。

 wikiによると、1号機でベント(弁の開放)に成功したのは3月12日の14時30分とのことだ。1号機の原子炉建屋内にあった中央制御室や1号機周辺では、ベントの前からかなり高いレベルの放射能が漏れていたことが分かる。震災当時、第一原発で勤務していた作業員の証言でも、配管が壊れたりする状況が目撃されている。

4号機の爆発原因は水素ではない?
 福島第一原発については、もう一つ気になっているのが次のニュース。
4号機の激しい損壊、水素爆発以外の原因か
読売新聞 5月10日(火)0時14分配信
 東京電力は9日、福島第一原子力発電所で、原子炉建屋が激しく壊れた4号機について水素爆発以外の可能性があるとみて調査していることを明らかにした。

 建屋5階の使用済み核燃料一時貯蔵プールで、水素を発生させる空だきの形跡がないことなどが判明。別の原因との見方が浮上した。

 建屋内には、原子炉内のポンプを動かす発電機の潤滑油貯蔵タンク(約100トン)があるほか、溶接作業などに使うプロパンガスのボンベもあったとみられ、東電で関連を調べている。

 東電はプールの水を調査。その結果、放射性物質の濃度が比較的低く、水中カメラの映像でも、燃料を収めた金属製ラックに異常が見られないことから、空だきが起きていたとは考えにくいことがわかった。

 この記事に書いてある潤滑油のタンクが壊れたとすれば、それは地震の時と考えるのが妥当だろう。4号機は地震で内部が滅茶苦茶になっていた可能性がある。

 福島第一原発は、津波による電源喪失と電源復旧が出来なかったことが、大事故の原因とされていて、もちろん、それは間違ってないと思う。しかし、少なくとも1号機については、津波が襲来する前にかなり壊れていて、事故が不可避な状態になっていた可能性もあるのではないだろうか。もちろん、これは新聞記事の断片を拾い集めた推測に過ぎないが、柏崎刈羽原発の一部が新潟県中越沖地震で壊れたことを考えても、あり得ない話ではないと思う。この点については、今後も注目していく必要があると思っている。

追記:だから何なのだ
 だから何なのだ、という指摘が身近なところからあったので追記する。仮に、津波襲来前に地震だけで原発が大きく壊れていたとすると「地震は想定内(で被害も防いだ)。津波は想定外(で被害が出た)」という主張が完全に崩れることになり、原発の安全神話が根本的に間違ってたことになる。日本は地震列島だから、原発が地震に耐えられるかどうかは重大問題なのだ。

追記(2011.5.16)
同じ事を考えていた記者がいたようで、ブログを書いた後に新聞記事になった。予測的中。
1号機、津波前に重要設備損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気
2011/05/15 02:02 【共同通信】
 東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内で東日本大震災発生当日の3月11日夜、毎時300ミリシーベルト相当の高い放射線量が検出されていたことが14日、東電関係者への取材で分かった。高い線量は原子炉の燃料の放射性物質が大量に漏れていたためとみられる。

 1号機では、津波による電源喪失によって冷却ができなくなり、原子炉圧力容器から高濃度の放射性物質を含む蒸気が漏れたとされていたが、原子炉内の圧力が高まって配管などが破損したと仮定するには、あまりに短時間で建屋内に充満したことになる。東電関係者は「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めた。

 第1原発の事故で東電と経済産業省原子力安全・保安院はこれまで、原子炉は揺れに耐えたが、想定外の大きさの津波に襲われたことで電源が失われ、爆発事故に至ったとの見方を示していた。

 地震による重要設備への被害がなかったことを前提に、第1原発の事故後、各地の原発では予備電源確保や防波堤設置など津波対策を強化する動きが広がっているが、原発の耐震指針についても再検討を迫られそうだ。

 関係者によると、3月11日夜、1号機の状態を確認するため作業員が原子炉建屋に入ったところ、線量計のアラームが数秒で鳴った。建屋内には高線量の蒸気が充満していたとみられ、作業員は退避。線量計の数値から放射線量は毎時300ミリシーベルト程度だったと推定される。

 この時点ではまだ、格納容器の弁を開けて内部圧力を下げる「ベント」措置は取られていなかった。1号機の炉内では11日夜から水位が低下、東電は大量注水を続けたが水位は回復せず、燃料が露出してメルトダウン(全炉心溶融)につながったとみられる。

 さらに炉心溶融により、燃料を覆う被覆管のジルコニウムという金属が水蒸気と化学反応して水素が発生、3月12日午後3時36分の原子炉建屋爆発の原因となった。

追記2011.5.25
地震前に壊れていたことを示唆する情報の続報が出てきた。
3号機の冷却配管、地震で破損か 津波前に
朝日新聞2011年5月25日5時14分
東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所3号機で、炉心を冷やす緊急システムの配管が破損した疑いがあることが、24日に公表された東電の解析結果からわかった。東電は「想定を大幅に超える大きさの津波」が事故原因だとしてきたが、解析が正しければ、津波の到着前に重要機器が地震の揺れで壊れていた可能性がある。

 解析によると損傷の可能性があるのは、過熱した核燃料が空だき状態になるのを防ぐため、原子炉の水位を保つ緊急炉心冷却システム(ECCS)の一つ。「高圧注水系」と呼ばれる冷却システムだ。核燃料の余熱による水蒸気が主な動力源なので、電源がなくても動く。

 東電によると、3号機では3月11日の津波で外部からの電源がなくなった後、別の装置で原子炉を冷やしていたが、翌12日昼ごろに止まった。水位低下を感知して冷却方法が高圧注水系に切りかわると、水位はいったん回復。その後、電池が尽きて動作に必要な弁の開閉ができなくなった。水位はふたたび下がっていき、大規模な炉心溶融(メルトダウン)につながった。

 高圧注水系の作動時には、それまで75気圧ほどだった原子炉圧力容器内の圧力が、6時間程度で10気圧程度まで下がった。通常なら、ここまで急速な圧力低下は考えにくいため、東電は水蒸気を送る配管のどこかに損傷があり圧力が下がったと仮定して解析。結果は圧力変化が実際の測定値とほぼ一致し、配管からの水蒸気漏れが起きた可能性が出てきたという。
posted by ナベテル at 16:39 | Comment(1) | TrackBack(0) | 社会・経済

2011年03月31日

危険な福島第一原発で働く人の保護を

 超久しぶりにブログを更新する。最近、発信したいことは大抵ツイッターで済ませてきたのだが、やはり、情報量が多くなるとブログの方が向いている。
 なんでブログを更新する気になったかというと、福島第一原発で決死の復旧作業をしている方々があまりに劣悪な環境で作業に従事している情報が次々に入ってくるからだ。僕は、15〜16年前に『週刊金曜日』の記事で、原発労働者が作業中の放射線量を量る「線量計」を外して仕事をする実態を読んだことがある。外すのは、もちろん、付けたらすぐ限界値に達してしまい、作業にならないから。当時、とても衝撃を受けて鮮烈に覚えていたので、今回の事故後に真っ先に心配になったのは現場で働く人たちの健康だった。そして、事故後に漏れ聞こえてくる情報を総合すると、今の福島第一原発で実際の危険な作業に当たっている作業員の多くは「協力会社」というヘンテコな名前の付いた下請け会社の従業員。「原発ジプシー」と言われる究極の非正規労働者もいるようだ。こういう人たちが危険な原発で黙々と働き、多量の放射線を浴びて健康を害する状況を放っておくのは耐えられない。

労働者の大量被ばく・放射線管理の不徹底
 厚生労働省は、東電原発事故後の3月15日、現場の労働者の年間の放射線被ばく制限値を100mSvから250mSvに引き上げた。もちろん、緊急事態を受けたもので厚労省は「被曝した作業員の健康管理には万全を期す」と言っていた。
被曝線量の限度引き上げ…福島第一の作業員限定(2011年3月15日22時31分 読売新聞)
 放射線の専門家でつくる「国際放射線防護委員会」が示す国際基準では、緊急作業時の例外的な被曝線量の限度は約500ミリ・シーベルト。厚労省によると、250ミリ・シーベルト以下で健康被害が出たという明らかな知見はないといい、同省は「被曝した作業員の健康管理には万全を期す」としている。

 しかし、その後に流れてくる情報は「万全を期す」とはほど遠い、というか、東電が高放射線が出ていることを下請会社に教えず、現場でもアラームを無視したり、そもそも放射線量を量ってすらいないことが次々に明らかになった。
福島第1原発:作業員被ばく 線量計警報、故障と思い無視(毎日新聞 2011年3月25日 11時42分)
 東京電力福島第1原発3号機で作業中の作業員3人が被ばくした問題で、東電は25日、線量計は正常に警報が鳴ったものの、3人は線量計の故障と思って作業を続けていたと説明していることを明らかにした。

東電、2号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず(朝日新聞2011年3月26日18時32分)
東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、3人が作業に入る6日前の18日、2号機のタービン建屋地下で、通常時に比べて異常に高い放射線量を確認しながら、東電は作業員に注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性がある」と認め、謝罪した。

一部作業員の被ばく量量れず(NHK2011年3月31日 19時8分)
 東電福島事務所によると、6日前の18日、2号機のタービン建屋地下1階で放射線量を測定したところ、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)を上回る毎時500ミリシーベルトだった。
東京電力では、被ばく量を量るのに必要な線量計の多くが地震で壊れたとして、一部の作業グループでは代表者にしか持たせず、作業員一人一人の被ばく量の管理ができていないことが分かりました。

 東電が現場の労働者に高放射線のゾーンをあえて教えず、現場では下請会社が放射線量を計らず、計っても無視したら、放射線量の基準なんてあっても意味がない。

体力を回復できない劣悪な作業環境
 放射線で傷ついた遺伝子(DNA)は健康な人については休息(睡眠)を取ることで回復する。しかし、十分な睡眠や食事を取れず、体力の回復を図れない状態が続けば、規定以下の放射線でもDNAはダメージを受けやすくなる。そして、現場の人たちが置かれている状況は正にそういうものだ。
東電「決死隊」1日2食の劣悪環境 一時は水も1・5リットルのみ(産経新聞3月28日(月)15時13分)
横田氏<渡辺註:原子力安全・保安院の横田一磨統括原子力保安検査官>は作業状況などの確認のため、22〜26日に福島第1原発を視察。現場では新たな水、食糧などが入手困難な状況で、一時は1日あたり1人に提供される水の量は「1・5リットル入りペットボトル1本」だったという。
 水に関しては、その後改善されたが、食事は朝、夜の1日2食で、朝食は非常用ビスケットと小さなパック入り野菜ジュース1本、夕食は「マジックライス」と呼ばれる温かい非常用ご飯1パックと、サバや鶏肉などの缶詰1つだけだという。
 マジックライスは「ワカメ」「ゴボウ」「キノコ」「ドライカレー」の4種類から選べるという。
〜中略〜
 下着など衣服も不十分で「着替えも難しい」(同)ほか、免震棟内は暖房が入っているとはいえ、夜間は毛布1枚づつしか与えられず、底冷えする中で眠っているという。

 この記事では、労働者の環境に対して責任を持とうとしない原子力安全・保安院の担当者の「協力したいが基本的には事業者(東電)の問題。大変厳しい環境で作業に必要なエネルギーを得られていないと思う」という発言も特徴的だ。そして、こういう作業環境は偶然に生まれたものではなく、どうも現場の感覚がそういう風になっている気がしてならない。
福島第二原発で勤務する労働者のブログ
所長の言葉:「福島第一、第二原子力発電所所員に『人権』なし!!」

 今、福島第一原発では、圧力容器の中にあったはずのウラン燃料が水を通して直接外気に放出される状態になっていて、あちらこちらで超高濃度の放射線が計測されている。このような極めて過酷な環境下で、不健康な労働者が勤務すれば、健康を害す可能性は非常に高くなるだろう。

強引な労働者募集・生活のために辞められない労働者

 しかも、下請業者の労働者たちは、もともと、好きで働いているわけではなく、生活のためにやむなく危険な仕事をしている。今、福島第一原発での仕事を拒否すれば、職を失う不安を抱えているのだ。
福島第1原発:英雄でも何でもない…交代で懸命の復旧作業(毎日新聞2011年3月21日 13時41分)
 それでも現場行きを決めたのは「原発の仕事をしてきた職業人としてのプライドより、沈静化した後のこと」だという。「これからもこの仕事で食べてい きたいという気持ち。断ったら後々の立場が悪くなるというか。今の会社で、またこういう仕事を続けていきたい気持ちなんで、少しでも協力し、会社の指示に できることは従って(やっていきたい)」と淡々と話した。
 現在、現場で作業に携わっているのは東電と子会社の東電工業、原子炉メーカーの東芝、日立のほか、鹿島、関電工やそれらの関係会社など。電源復旧 では送電で4社、変電で5社、配電で3社という。地震発生直後に約800人いた作業員は15日の4号機の爆発による退避で一時約50人まで減ったとされる が、それ以降は300〜500人で推移。18日に米軍に借りた高圧放水車で3号機に放水したのも、東電工業の社員2人だった。
 また、一度現場を離れた労働者たちも、高額の日当で頼み込まれて現場に戻っている状況がある。

 危険な環境で作業する労働者たちの募集は命の値段としてはあまりにも安いが、生活する上では相当高額な日当だ。
下請け会社職員原発に戻る覚悟 日当8万円で復帰の同僚も(スポニチ2011年3月31日 06:00)
 福島県双葉町の町民が集団避難しているさいたまスーパーアリーナには、東電が「協力企業」と呼び、福島第1原発で復旧作業を続ける下請け会社の職員も避難。40代の男性は社長から「手伝ってくれないか」と懇願され、近く第1原発に戻るつもりだ。「覚悟はしている。仲間が現場で戦い、交代を待っている。今 すぐにでも行ってやりたい」と話した。別の男性によると、日当8万円という条件で既に職場に戻った同僚もいるという。

 菅首相は福島第一原発からの撤退はあり得ない、と明言した。言うまでもないが、菅首相は民主的に選ばれた僕らの代表だ。僕は、当初、「安全」な原発の上にあぐらをかいて快適な生活をしてきた自分がこの人たちを無理矢理働かせる側にいることに戦慄したが、誰かがこの「汚れ役」を引き受けないと、日本全体、人類全体が生物学的に重大な危機にさらされることも自明だ。今は、安全圏にいる日本国民全体が「殺す側」に回っていることの自覚とその立場を引き受ける覚悟も必要だと思う。

労働者の健康管理の徹底と長期の医療・生活補償を
 国、東電が「安全だ」と言い続けた結果の今回の事故だ。その尻ぬぐいを経済的や社会的な状況から不本意ながらやらされる労働者を、国が責任をもって手厚く保護しなければならないのは言うまでもない。しかし、そもそも、国、東電は、今、福島第一原発で働いている下請労働者たちの氏名を把握しているのだろうか。今のような無茶苦茶な環境で働かせれば、将来、健康を害する労働者が出てきてもおかしくない。国と東電に求められるのは、今働いている労働者の健康管理の徹底と、将来にわたる医療補償、健康を害したときの生活補償だと思う。
 実際、医療関係者から、生涯にわたる医療補償の提言がなされている。

「英雄」ではない「被害者」である原発事故作業員に、生涯にわたって医療補償を
有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役
木村 知
2011年3月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 この問題、現場の深刻さに比べて、まだまだ社会的な関心が集まってないように思う。多くの人が声を上げて、政府が対策を取ることを願う。
(2011.4.1追記)

資料編
原発で勤務していた労働者の現場の実態についての証言
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html#page2

日本の原発労働者の実態についての調査番組(イギリス・チャンネル4放送)
http://ow.ly/4eVny
http://ow.ly/4eVnz
http://ow.ly/4eVnA
 
原発労働者の安全衛生に関する厚労省のパンフ
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/040325-4a.pdf
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/040325-4b.pdf
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/040325-4c.pdf
posted by ナベテル at 22:26 | Comment(5) | TrackBack(0) | 労働問題

2010年10月05日

カンボジア旅行記2(バイヨン寺院)

 前回の投稿からすでに1ヶ月近く経っており、ブログが活用されていない状況に自分なりの焦りを感じております。まあ、マイペースで。 

 アンコールワットが建設されてから数十年後に王が変わってから建設されたのが、アンコールトムだ。ここは、なんと、仏教遺跡。数十年前のアンコールワットがヒンズー教の遺跡であることと比べると非常に面白い。
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アンコールトムの入り口にある観音様の像


 入り口の門の上には、日本人が勝手に描くカンボジアのイメージに出てくる、あれ。これ、実は、観音菩薩なんだそうだ。
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観音菩薩像


バイヨン寺院
 そして、アンコールトムのど真ん中にあるのがバイヨン寺院。ここはかなり面白かった。
03バイヨン遠景.jpg
バイヨン寺院遠景

 
 ここはアンコールワットと同じく、壁画が凄い。
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アプサラ(天女)の図

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バイヨンの壁画

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バイヨンの壁画2

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バイヨンの壁画3


 壁画の回廊を回ってから、建物の中心部に迫っていくと、顔、顔、顔。バイヨン寺院が仏教寺院になっているのは、当時の王様が、既得権益層であるヒンズー教指導者たちの力を削ごうとした政治的な側面があるのだそうです。
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バイヨン寺院の塔群

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これも観音菩薩像


 そして、世界中に写真が出回っている一番有名な観音像がこれ。
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一番有名な観音菩薩像


 回廊は実はナーガ(蛇)の胴体をかたどっている。これはアンコールワットと全く一緒。ヒンズー教と仏教は境界が曖昧なのだ。
09回廊の屋根がナーガ.jpg
回廊の屋根がナーガ


 そして、デバター(女神)像。ここのデバターはアンコールワットのより総じて出来がいいように思った。
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 次回は、天空の城ラピュタのモデルになった?寺院とかの紹介。
posted by ナベテル at 00:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行記

2010年09月13日

カンボジア旅行記1(アンコールワット)

 今年の夏休みはカンボジアのシェムリアップという街に行ってきた。シェムリアップはカンボジアの中では一番タイ寄りの街。昔から緊張が絶えなかったようで、シェムリアップという街の名前自体、「シェム」=「シャム」=タイを「リアップ」=「一掃する」という意味らしく、戦勝を祝して付けた名前なんだそうだ。
 この街に来たお目当ては、もちろん、アンコールワットを初めとする遺跡群。インドから日本まで流れる文化の一端が分かった気がして、とても面白い旅だった。最初は、大長編の旅行記を書こうとしたんだけど、とても書ききれないので、写真中心の旅行記でお茶を濁すことにした。

 この街に来たら、まず、アンコールワットを見るしかない。初日からいきなり見て、その後、もう一度見に行った。このお寺は仏像等を安置しながらも、まだ、ヒンドゥー教主体の寺院だ。
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参道

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参道にある爆弾の痕

 内線の痕跡は世界遺産の中にまである。この国は、ちょっと前には、信じられないような大虐殺が平然と行われていた国なのだ。

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 アンコールワットを初めとする遺跡の修復に力を入れているのが、日本では全く影の薄い我が母校・上智大学だ。実際、アンコールワットの遺跡周辺では、上智大学は一番有名な日本の大学。僕についたカンボジア人ガイドさんは「上智大学の学生はみんな賢そうだけど、勉強ができる大学なのですか?」と日本語で聞いてきた。はったりも含めて「私立大学ではナンバースリー」と答えておいた。

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塔門をくぐって敷地内に入ったところ
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ここが一番の撮影スポット


 中に入ると最初に見られるのが、「ラーマーヤナ」に出てくるラーマ率いるサル軍と悪の王ラーヴァナ率いる羅刹軍の戦いの図。ここの壁画は他のものと比べても本当に生き生きと描かれていて、カンボジア人が「ラーマーヤナ」をとても好きなことが伝わってくる。
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主人公ラーマ(右)と弟のラクシュマナ(多分・・)
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ラーマ(上)と猿軍の将軍・ハヌマン
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悪の王・ラーヴァナ


 右の方に行くほど、ラーヴァナ軍が劣勢になって、サル軍がどんどん勢いよくなっていく。ラーヴァナがのっている馬車の図なんかは、エジプトのファラオの戦車の図にも共通する構図だけど、何か関係あるのかしら(多分、ない)。

 アンコールワットにはデバター(女神)の図があっちこっちに描かれている。
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デバター


 アンコールワット自体、未完成の建物なので、失敗?したヌードっぽいデバターや、外枠が書いてあるだけのものもある。
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ヌードのデバター
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書きかけのデバター


 第一回廊の他の所に行くと、日本でもおなじみ、閻魔様によって地獄に突き落とされる図や、ヒンズー教の天地創造である「乳海撹拌」の図もある。乳海撹拌というのは、神と阿修羅がナーガという蛇を綱代わりに綱引きをして乳海を揺する、という感じのもの。乳海撹拌の図は残念ながら修理中で、一番いいところを見られなかった。
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閻魔様に地獄に落とされる図
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乳海撹拌図


 柱の彫刻も半端じゃないです。
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柱の彫刻


 歴史に記録が残っている限り、アンコールワットに来た初めての日本人は森本一房という平戸藩士。この人はアンコールワットを祇園精舎と勘違いして落書きを残していった(結構バチ当たりなヤツだ)。一房が書いた「祇園精舎図」というアンコールワットの絵図が水戸徳川家に今でも伝わっているそうだ。
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森本一房の落書き(上から塗りつぶされている)


 回廊も、回っているだけで美しい。
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第一回廊外観
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第二回廊に上がる階段


 第三回廊に上がる階段はものすごく急。上に上がる人数が多すぎないように、下でコントロールされている。
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第三回廊に上がる階段
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第三回廊から入り口方面を望む


 そして、アンコールワットの中心にあるのが、中央塔。ここまで上るのは結構大変。そして、コウモリの糞のにおいがする。
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中央塔

 というわけで、建物の上の方に上るよりも、壁画が素晴らしいアンコールワットであった。次回は、アンコールトムとバイヨン寺院。
posted by ナベテル at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行記