2009年11月26日

「おまとめローン」は正しい選択か(1)

 ここ数年、債務整理の仕事をしていると、「星」だの「都会」だのの横文字が付いた銀行をはじめ、金融機関が「おまとめローン」で融資している例がある。

 おまとめローンというのは、例えばアイフルや武富士のようなサラ金(消費者金融などともいう)からの借り入れを銀行からの借り入れで「完済」し、あとは銀行からの借り入れ一本を返済していけば良く楽だし、利率が消費者金融より低いので消費者にはお得!というふれこみの制度だ。

 しかし、弁護士として関わっている債務整理では、おまとめローンをしてしまったばかりにかえって大損をしたり、自宅をうしなうことになってしまう場合がある。

 一つは、消費者金融で過払金が出ている場合。あるいは「おまとめローン」による返済で過払金が出ている場合だ。

 「グレーゾーン金利」というものがある。利息制限法で認められた年利15%(100万円以上)、18%(10万円以上)、20%(10万円未満)という利息と、旧貸金業規制法で定められていた年利29.2%(かつてはもっと高い時期もあった)の利息の間の金利の間の利息のことをいう。アイフルや武富士について言えば、かつては大体25〜29%の間くらいで貸付をしていた例が多い。そして、詳しい経緯は省くけど、最高裁判所の判例によってサラ金が消費者から取っていた「グレーゾーン金利」による利息は手続違反でほとんどが無効だということが宣言された。そこで、消費者が支払った「グレーゾーン金利」を利息に充当せずに、借り入れ元本に充当した場合、最終的にはお金の返しすぎになるのがいわゆる過払金だ。しかし、消費者金融から来る請求書や領収書にはグレーゾーン金利を前提とした借金残高が書かれているので、取引履歴をエクセルに入力して計算し直さないと、現在の正確な借金残高や過払い金の有無は分からない。

 前置きが長くなったけど、かつて一度でも「グレーゾーン金利」で借り入れをしたことがある場合、サラ金が標榜する額面額の借金を満額返済すると、額の大小はあれ、必ず過払金が出ることになる。

 「おまとめローン」の「おまとめローン」でサラ金等の借金を返済する場合、この「グレーゾーン金利」の再計算をやらずに、サラ金が勝手に標榜している額面額の「貸金残高」を前提に返済が行われている例がある。返済する必要がない幻の借金を「おまとめローン」で借りたお金で返している、ということだ。

 これは全くの無駄だし、「おまとめローン」の利息を返済しなければならないのでかえって損をしてしまう。それどころか、最近は大手まで含めてサラ金(消費者金融)の経営が怪しくなってきているので、過払金を回収できない場合も出てきてしまう。回収するのにも自分で訴訟等しない限り弁護士にお金を払わなければならない。

 しかし、こういう弊害について「おまとめローン」を実施している金融機関でどこまで親身に相談に乗っているのか極めて疑問だ。というより「おまとめローン」は後に述べるように弁護士による債務整理とは方針が相反する場合もある(矛盾する場合は弁護士に依頼する方が消費者のためになる場合が多い)ので、顧客を獲得しようとしている金融機関がこの問題を消費者に懇切丁寧に説明すると、消費者が「おまとめローン」をせずに弁護士に依頼して債務整理してしまう可能性が高い。金融機関にはそのような説明は期待できないのである。

・・・・(2)に続く


posted by ナベテル at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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