2010年01月04日

民主党のネット選挙解禁論に若干の異議

 民主党が、ネット選挙を解禁する公選法の改正をするつもりのようだ。それ自体は歓迎したい。ネット上で候補者の名前書くことすら場合によって犯罪とされる状況は異常だ。
ネット選挙運動解禁、参院選から…民主方針

1月4日3時11分配信 読売新聞
 民主党は公職選挙法を改正し、インターネット利用や戸別訪問を解禁して選挙運動を大幅に自由化する方針を固めた。

 ネット利用解禁は、1月からの通常国会に改正案を提出し、夏の参院選からの実施を目指す。戸別訪問解禁は参院選の公約に掲げ、秋以降に法改正する考えだ。

 公選法は選挙運動の公平性のため、配布できる文書類をはがきやビラなどに限っている。この規定に基づき、選挙中のホームページ(HP)更新も違法な「文書図画の配布」にあたり、禁じられると解釈されている。投票を依頼する目的で有権者の自宅などを訪れる戸別訪問も買収などを防ぐために禁止されている。

 これに対し、民主党では小沢幹事長らが選挙運動の自由化を主張している。政権公約(マニフェスト)選挙の定着などで選挙が政党中心に行われ、自由化が買収などにつながりにくくなったと判断している。昨年の衆院選で主要政党が選挙中にHPを更新するなど、ネット利用禁止がなし崩しになってきており、実態に即した改正を行うべきだという声も強まっている。

 ネット利用は、選挙中のHP更新だけでなく、電子メール使用も可能にする全面的な解禁とする方針だ。ただ、〈1〉投票日のHP更新は認めない〈2〉メールの送信対象は登録者に限定する〈3〉改ざんの恐れがあるため、選挙公報はネットに掲載しない――などの制限を加える案が出ている。

 自民党は、他人が候補者の名前をかたる「なりすまし」が容易なメールの解禁には否定的だ。民主党もなりすましや中傷の対策などをさらに検討する考えだ。

 民主党は5月末までに改正案が成立すれば、参院選でネット利用を解禁できるとみている。「インターネット選挙運動解禁研究会」(田嶋要会長)で検討し、議員提案で国会に提出する構えだ。一方、戸別訪問は1925年の普通選挙法制定以来、戦後の一時期を除いて禁止されており、解禁は選挙運動の抜本的な変化につながる。民主党は与野党協議に時間がかかると見ており、ネット利用解禁を先行させる考えだ。

 ◆解禁されれば、こんな事も◆

 ▽選挙期間中、党のホームページに候補者の演説内容の動画を掲載する

 ▽候補者が選挙中の動きを随時、ブログに掲載する

 ▽民間団体が、選挙中の候補者のホームページやブログを一覧できる候補者紹介サイトを開設する

 しかし、この「ネット選挙解禁論」は、以前の「ネット選挙解禁求めるYAhoo!広告の誤り」(記事はこちら)で書いた通り、日本国憲法が保障する表現の自由の観点からは致命的な欠陥を抱えている。
 
 そもそも、上に書いたような候補者の名前も書けない異常な状況は、ネット選挙に限ったことではない。ノートに鉛筆で書いて回覧しても同じ事なのだ。それどころか、政党ですら、自分のところの候補者の名前すら、いくつかの例外を除いてチラシに書けない。圧倒的に現職候補が有利で、お金持ちが有利で、違法しても警察が目をつぶる権力側(与党側)の候補が有利な制度だ。

 そして、前にも書いたように、このようながんじがらめの規制は明治憲法下の無産者弾圧のための法律に淵源がある。もともと日本国憲法とは相容れないものだったのを、自民党の手前勝手な都合で規制を強化して今日まで生き延びてきたものだ。裁判所すら、自民党の権力に屈服して(あるいは戦時中の自分たちの失態を正当化するためか?)、これらの規制に理屈にもならない屁理屈をつけて合憲としてきた。実例としても、文書図画頒布罪で捕まって判例になっているのは圧倒的に共産党や旧社会党の例が多いことは知っておくべきだろう。

 憲法違反(だと僕は信じている)の文書図画頒布規制は、根底から撤廃すべきなのだ。それこそが自民党の古い政治との決別になる。ビラまくのは自由、ネットも自由(憲法)→なぜか選挙向けはだめ(公選法)→ネットだけお目こぼしするよ(公選法)という三段階の規制は屋上屋を掛けるものだ。今でさえぐちゃぐちゃになって一読しても弁護士ですら意味不明の公選法がさらに分かりにくくなる。選挙法なんて、一般国民が読んで、やっていいことと悪いことの区別が付かなければ意味がない。

 民主党は下手な部分解禁を止めて、文書図画頒布規制を全面撤廃すべきだ。「参議院戦後に戸別訪問解禁」という新聞記事の内容も、実は重大な内容をはらんでいるんだけど、それはまた別の機会に。
posted by ナベテル at 08:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 公職選挙法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ワタシのように新聞をとっていてもチラシはロクに見ない、という人間にとって選挙公報は正直無意味。ネットでの活動が全面解禁になれば選挙戦も変化してくるだろう。ただし、そのためにはデジタルディバイドの問題は今以上に解決しなければいけない課題ではあると思う。なぜなら、メカに対して強い弱いは、現代社会においては年齢とイコールではないので。
Posted by くろでんわ。 at 2010年01月04日 23:02
>くろでんわ。
だからこそ、文書図画頒布の全面解禁が必要なのだと思われる。
Posted by ナベテル at 2010年01月04日 23:20
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