2010年06月19日

独裁者に付ける薬はあるか:阿久根市竹原市長が専決処分乱発

竹原市長の暴走ぶり
 阿久根市の竹原市長の暴走が止まらない。議会を招集せずに、議会に諮らないまま、条例を「専決」で制定する行為を乱発している。

<阿久根市長>専決処分を“乱発” 議員報酬日当制など専決

6月19日10時28分配信 毎日新聞

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は18日、市議のボーナスを廃止し、議員報酬を従来の月給制から議会出席ごとに支払う日当制にするなど、3件の条例改正を専決処分した。市長はこれまでに市長と市職員の賞与を半減する条例改正や、花火使用を制限する条例も専決処分している。専決処分の“乱発”に、反市長派議員らは「異常だ。市民による市長リコール運動をけん制するのが狙いだ」と批判。県に22日、市長の市政運営に是正勧告するよう要請する方針。

 同市によると、議員日当制は福島県矢祭町で導入されているが、市では初という。

 市関係者によると日当は▽本会議▽委員会▽議長が認めた市主催行事−−に出席の場合、1万円を支給する。

 月給制だった同市の09年度議員報酬は総額5823万円、議員1人平均では約360万円。年間出勤日数は約40日で、ボーナスも廃止されたため、日当制になると単純計算で報酬は9分の1に激減する。7月から適用される。

 他の専決処分は、法人市民税率を2.4%、固定資産税を0.2%それぞれ引き下げる市税条例改正と、8月から住民票交付料金などを300円から200円に値下げする市手数料条例改正。市の収入は税率変更で年約1億6500万円、手数料変更で同約200万円それぞれ減収になる見込みだ。

 地方自治法は緊急を要する際に、首長の専決処分を認めているが、市長は6月市議会を招集していない。浜之上大成議長は「今のままでは地方自治体の2元代表制が崩壊する。議会も開かれないから審議ができない」と憤っている。【馬場茂】


今の阿久根市で条例の専決はできないだろう

 僕は、竹原市長が暴走するまで、市長が条例を専決できる場合があることすら知らなかった。この人は、ある意味、地方自治法の隅っこにある条文を勉強させてくれる。で、条文を当たってみるとこうなっている。
第百七十九条  普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
○2  議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
○3  前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。

 阿久根市では議会は成立しているだろうし、定数割れの問題もないので113条で会議を開けないこともない。議会が怠慢で条例を議決しないということもない。残るのは「議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」だけということになる。
 しかし、竹原市長は、6月議会を招集していないという。それ以前の議会も出席を拒んでいた。自分で招集拒否したり、出席拒否しておいて、議会を招集する時間的余裕がない、とは言えないだろう。結局、現在の阿久根市には市長が条例を専決できる条件は無いと思う。
 条例の制定手続に地方自治法違反があるときは、条例は無効になるだろうから、それに基づく行政処分(例えば給与の一部不支給処分)は取消の対象になるし、そもそも、処分自体が無効になる可能性のあるレアケースに該当する。「専決」によって不利益を被った人は訴訟を提起すれば勝訴する可能性が高いだろう。また、ネット上の例規集や広報で実態が確認できなかったが「花火規制条例」のように罰則を定めていると思われる場合は、罪刑法定主義違反になり、警察等が現場で条例を運用できなくなる可能性もある。

 ところで、市長が専決した条例については、市長が議会を開催しなくても、4分の1以上の議員の請求で臨時会の開催を要求できる。そして、議会を開いた上で不承認にすれば失効するのだが、今のところ、そういう動きがない。外野からはよくものが見えないが、阿久根市議会のこういう動きの鈍いところが、竹原市長のような人をはびこらせる原因にもなっている側面はないのだろうか。


独裁者に付ける薬はあるか

 自治体の運営については、色んな意見があり得るが、国民が定めたルールを無視する独裁者は断固拒否すべきだ。
 市長を辞めさせる方法については、以前、「阿久根市竹原市長を辞めさせる方法はあるか」という記事を書いた。結論的には、議会がリコールするか、住民がリコールするしかない、ということだ。実際、今、市民グループが立ち上がって、リコール運動を始めたようだ。これが「地方自治の本旨」にも沿い一番近道だろう。頑張っていただきたい。

 僕がもう一個着目しているのは、次のニュース。
阿久根市:降格人事問題で竹原市長を告発 職員側弁護団
毎日新聞 2010年6月9日 12時21分(最終更新 6月9日 12時52分)

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、降格人事を取り消した市の公平委員会の判定に従っていない問題で、職員の弁護団は9日、竹原市長に対する地方公務員法違反(指示不履行)容疑の告発状を鹿児島地検に提出した。

 弁護団によると、市公平委は今年2月24日、課長級から課長補佐級に格下げされた3人を元の役職に戻すよう竹原市長に指示したが、市長は拒否した。

 弁護団は5月25日、公平委の判定に従うよう求める「通知書」を市長あてに郵送したが、市長から反応がないため告発に踏み切った。地方公務員法は、公平委の指示に従わない場合、1年以下の懲役または3万円以下の罰金と定めている。【福岡静哉】

 阿久根市で、降格処分が人事委員会で取り消された件については以前に「阿久根市の降格人が事公平委員会で覆る」という記事を書いた。この記事はその続報になる。公平委員会の処分に対する不服従は地方公務員法に罰則規定があるのだ。
 警察が動くのか?という意見もあるかもしれないが、甘く見てはいけない。こういう例もある。 
出頭拒否10回、町議を逮捕…運転中ケータイ
6月19日6時39分配信 読売新聞

 携帯電話で話しながら車を運転していたとして、広島県警海田署は18日、広島県坂町議の男(35)を道路交通法違反(携帯電話使用)容疑で逮捕した。

 広島区検は同日、同法違反で広島簡裁に略式起訴し、同簡裁は罰金など4万7000円の略式命令を出した。町議は即日納付し、釈放された。

 発表によると、町議は昨年9月16日午前11時頃、廿日市市内の国道2号で、携帯電話で話しながら車を運転した疑い。町議は反則切符を切られたが、納付期限内に反則金7000円を支払わず、約10回の出頭要請にも応じなかったため、逮捕した。

 公平委員会の件は、個々の職員の身分に関するものであり、侵害された職員の利益は重大だ。また、自治体の長が法律を守らないなど、許されることではない。検察・警察は堂々と捜査をして、竹原市長を起訴に持ち込むべきだ。もし、起訴されて実刑判決になれば、竹原氏は被選挙権を失うので自動失職する。一度の事件で実刑にならなくても、同種の事案が重なれば、やがては実刑になる(その意味でも不利益を被った人はどんどん不服申立をすべきだ)。また、実刑にならなくても、現職の市長が市の運営について犯罪を犯したことになれば、政治的には権力を維持できなくなる可能性もある。

 阿久根市民の皆さんは、日本の民主主義を代表して、独裁者を懲らしめ、退場させていただきたい。

関連記事
「阿久根市竹原市長を辞めさせる方法はあるか」
「阿久根市の降格人が事公平委員会で覆る」

posted by ナベテル at 17:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 行政事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
不思議なのは、
この市長を支持する有権者ってのが
少なからずいるんですよね。
まぁ、その辺難しいところです。
Posted by 哲夫 at 2010年06月29日 00:24
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