2014年02月03日

「橋下氏が市長に再選されても任期が変わらない」について調べた

 筆者は弁護士だが、市長が辞職してまた市長選に出ると、当選しても任期が当初の通りとなる、というのを記憶していなかった(言われると、名古屋の河村氏だか阿久根の竹原氏だかで、過去にそういうことが問題になったことがある気がする)。
 この点について、新聞の書き方を見ていてもどうもスッとしないので、自分で調べてみた。法律の条文を見ると以下のようになっている。

条文の確認
地方自治法
第百四十条  普通地方公共団体の長の任期は、四年とする。
○2  前項の任期の起算については、公職選挙法第二百五十九条及び第二百五十九条の二の定めるところによる。

 で、公選法の該当部分には下記のような記載がある。
公職選挙法
(地方公共団体の長の任期の起算)
第二百五十九条  地方公共団体の長の任期は、選挙の日から起算する。但し、任期満了に因る選挙が地方公共団体の長の任期満了の日前に行われた場合において、前任の長が任期満了の日まで在任したときは前任者の任期満了の日の翌日から、選挙の期日後に前任の長が欠けたときはその欠けた日の翌日から、それぞれ起算する。
(地方公共団体の長の任期の起算の特例)
第二百五十九条の二  地方公共団体の長の職の退職を申し出た者が当該退職の申立てがあつたことにより告示された地方公共団体の長の選挙において当選人となつたときは、その者の任期については、当該退職の申立て及び当該退職の申立てがあつたことにより告示された選挙がなかつたものとみなして前条の規定を適用する。

 なるほど、確かにそう書いてある。結局、公選法の259条の2により、橋下氏が当選した場合は、任期が最初の当選のときから4年、ということになるんですな。ここで重要なのは、無投票かどうかは関係ない、ということ。橋下氏が当選すれば任期は今の任期と通算されるし、そうじゃ無い人が当選した場合は新たに4年となるのだ。我こそは、と思う人は立候補して、橋下氏の悪政をどんどん批判すればよいと思う。

何故こういう制度なのか
 制度趣旨としては、現職首長による選挙制度濫用の防止、ということで予想がつくところだが、一応調べてみた。
 普通地方公共団体の長の職に在るものが、任期の満了を待たずに退職の申出をした場合は、かつては、退職の申立があったことに因り告示された選挙において候補者となることができないとしていたのを改め(昭和37年改正前の公選法87条の2削除)、普通地方公共団体の長が任期満了をまたずに退職を申し出、当該退職の申立があったことに因り告示された選挙において立候補できることと氏、その場合、再び当選人となってもその者の任期については、退職前の在職期間に通算する(当該退職の申立て及び当該退職の申立てがあったことにより告示された選挙がなかったものとみなされる)こととなっている(公選法259条の2)。つまり、普通地方公共団体の長が、たとえば、議会との間が円滑に行かない場合に、不信任決議を受けて議会解散で住民の批判をまつ方式の他に、自ら自発的に退職して信を住民に問うことができる道が開かれたが、その場合は、任期四年の特例となる。
 したがって、退職の申し立てがあったことに因り告示された選挙は、退職を申し出たものについては信任投票、新たに立候補した者については、後任者の選挙という二つの内容を有しているもので、退職を申し出た者が再び当選人となった場合は、前職の残任期間であり、新たに立候補した者が当選人となった場合は、その任期は通常の任期の四年である。(『新版逐条地方自治法第1次改訂版』松本英昭 学陽書房)

 念のため公選法の注釈書も参照してみたが、ほとんど同じ事が書いてあった。
 もともと、辞職の場合の再選挙出馬が禁止されていたことになる。それがいわば規制緩和されて、再選出馬はできるけど、任期は変わらないよ、という制度になったのだ。注釈書に制度趣旨は明記されていないが、条文の体裁からすると、予想したとおり、現職市長による選挙制度の乱用防止なのではないだろうか。
 橋下氏が今日辞職して、大阪市長の再選挙に出馬した場合は、その選挙は、橋下氏にとっては信任投票となるのだから、単に勝ったかどうかだけでなく、前回市長選挙と比べて表が増えるのか、減るのかが重要な要素となるとみるべきだろう。
posted by ナベテル at 11:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。