東京五輪 馳文科相「核心に触れる情報必要だった」 コンサル料の妥当性強調
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160517-00000525-san-soci
そこで、この2億円超が実際、どこから出てきたのか調べてみた。
オリンピック招致委員会は、東京都と日本オリンピック委員会(JOC)などで組織しているが、JOCの「業務・財務」を見る限り、平成24年度、平成25年度にオリンピック招致のために多額のお金をつぎ込んでいる様子は見られない。
一方、東京都のホームページの予算関係の項目を見ると、オリンピック招致のために、都スポーツ振興局が平成24年度に約20億円、平成25年度に約13億円の予算を組んでおり、平成25年度は「IOC総会での最終プレゼンテーション」のために使われる旨の記載がある(PDFはこちら)。問題の「コンサル料」が支払われたのは平成25年7月と10月のことである(2016.5.13時事通信)。
現状、2億円余のお金が一体どこから捻出されたのか定かではないが、東京都民の税金がつぎ込まれている可能性は充分あるのではないだろうか。東京都の税金の使い道をただすのは都知事と東京都議会であるが、地方自治体の場合、地方自治法で「住民監査」の制度が導入されており、都民も都に対して監査を請求できる。フランスで捜査が始まる中で、日本政府が強引な火消しをするのなら、東京都民にはカウンターに監査請求をおすすめしたい。監査請求の仕方はこちらに載っている。
東京都監査事務局:住民監査請求の手引
穿った見方
この先は単なる「穿った見方」で、やり過ぎると陰謀論に陥るのだが、ここまで調べたところで、自分の頭の中では政府与党−電通−招致委員会が何やら直線でつながった。
今、オリンピック招致の不正問題にやや先行し、それとかぶる形で、東京都知事である舛添要一氏に対するバッシングが行われている。筆者もそれ自体は正当な追及と考える。この問題は、最初に出張費用の無駄遣い問題から始まり、政治資金のセコイ不正使用疑惑に発展している。しかし、個別の問題で見ると、出張費用の無駄使いの問題は、共産党などは石原都政時代から延々と指摘し続けており、筆者から見ると「今さら」感が強い。石原慎太郎はクルーズ船で豪遊する代金まで税金で支出していたと記憶している(2006年11月16日「しんぶん赤旗」石原東京都知事 税金使った“海外旅行”豪遊 1回平均2000万円)。政治資金の問題も、これ単独なら修正してお終いだろう。自民党のセンセイ方はみなそれで乗り切っている。単独では賞味期限切れ、効果薄の問題が合わせ技で繰り出されることで、辞任すらちらつく状態になってきたのである。客観的にはなかなか上手い展開である。その上、下記のニュースのように、なぜか舛添氏を担いだはずの自民党筋から批判が出ている。収賄の疑いすらある甘利氏の件を放置して舛添氏を追及する与党の議員はちょっと滑稽である。大阪府知事・大阪市長時代に、「俺は東京都知事か総理大臣になりたい」と額に書いてあるように感じた橋下徹まで批判に乗り出し、何やら腐臭が漂う。
「舛添氏は他人に厳しく自分に甘いところがあるのではないか」自民・下村氏バッサリ(2016年5月14日 スポーツ報知)
http://www.hochi.co.jp/topics/20160514-OHT1T50082.html
舛添知事は「猛省が必要」 谷垣氏、政治資金問題を批判(2016年5月17日朝日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ5K41YBJ5KUTFK003.html
もともと、筆者は、舛添おろしは甘利問題や景気低迷など、政府系の不祥事から目をそらす「スピン」と、あわよくば、参院選と都知事選のダブル選挙を狙った政府与党の仕掛けか、とも思っていた。そして、今、政府・与党のメディア対策は電通がかなり関与しているはずである。この点、オリンピック招致の不祥事は、電通自体が不祥事の中心にいる。そう考えると、スピン、ダブル選挙狙いの他に、不祥事問題で都知事である舛添の足を取ることで電通自体の不祥事に対する追及を最小限に食い止めようとする狙いもあったと考えると、なにやら上手く説明が付いてしまう。すなわち、電通と蜜月の政府・与党が火消しに走っている状態では、この2億円問題を追及すべき機関は東京都知事と東京都議会ということになるが、舛添自身の不祥事で、都知事と都議会がケンカを始めれば、オリンピックの方はおのずと影が薄くなるのである。まあ、この手の偶然の符合は社会に沢山あると思うので、この仮説にこだわる気は全くないが、いずれにせよ、攻めるには監査請求が吉ということなので、東京都民はガンガン監査請求をやって欲しい。