2010年01月31日

マイクロソフトの無法なリストラを考える

 マイクロソフトの日本法人が2000人の従業員の約1割をリストラする予定らしい。1月28日の「赤旗」が伝えた。全世界で従業員の5%にあたる5000人をリストラする、というニュースはすでに流れているが、日本法人は10%も削減されてしまうことになる。以前、勝間和代の「クロストーク」とかいう企画(毎日新聞だっけか?)で、「終身雇用を見直そう」というのがあった。これに限らず、日本の終身雇用を見直して解雇しやすくしないと経済が阻害される、という主張は財界を中心に後を絶たない。しかし、このマイクロソフトの世界全体のリストラ割合と日本のリストラ割合の差は勝間和代の言い分である「日本は解雇をしにくい」(というか彼女はあまり深く考えずに財界のスポークスマンをしているだけの言辞が多い気がする)を裏付けるものになっているだろうか。

 赤旗が報道するマイクロソフト日本法人のリストラの実態は「ひどい」の一言だ。あるリストラ対象の社員はチームの中で一人だけ誰もいない「離れ小島」に机を置かれ、ミーティングにも呼ばれず、社内便も届かず、本来の仕事は奪われて派遣労働者と同じ仕事をさせられてた、という。また、他の削減の対象になったある労働者はいきなり呼び出されて「自主」退職するように迫られた。拒否すると自宅待機を命じられた。自宅待機解除後はストレスで血を吐いたという。復帰するとその人にも「島流し」が待っていた。このような実態は人権侵害そのものだ。欧米各国なら決して許されないだろう。

 勝間和代が言うように、日本においては終身雇用制(法律上は「期間の定めのない雇用」という)の正社員を解雇するのはそれなりにハードルが高い。それなりに厳格な手続きをふまないと解雇が無効とされる。しかし、日本の場合、従業員を退職に追い込むための無法はほとんど放置されている。制裁的な人事、本来の業務を奪って雑務や草むしりをさせる、通勤が困難な遠い職場への配置換えなどは、明らかに嫌がらせ目的でも裁判所が鈍感なせいで違法とされない例も多いし、裁判を起こしても勝つまでに何年もかかってしまう。慰謝料の額も低い。結局、その間に力尽きてしまう例が多い。また、マイクロソフト日本法人のような「島流し」や「座敷牢」と呼ばれる隔離措置も横行している。

 欧米では企業が無法なことをすれば社会的な反撃が激しいし、労働組合も黙っていない。使用者が大規模なリストラを使用とすれば、法以前の問題として覚悟が必要だ。しかし、日本ではそれらがまともに機能していない。すでに書いたように企業が行う無法はほとんど放置されてしまう。職場は人間関係そのものだ。人間関係を根底から破壊されても解雇は違法だ、と主張し続けられる人は相当な鉄人だろう。実際には使用者の無法に対して、多くの人は職場を去らざるを得ない。解雇そのものの規制が厳格=解雇しにくいという図式はストレートには成り立たないのだ。

 マイクロソフトの世界的リストラのなかで、なぜ日本のリストラ割合が世界平均の倍もあるのか。その謎を解く鍵は、グローバル企業から見れば、実は、日本は労働者や社会全体の反撃が弱い、リストラをやりやすい国だ、という点にもある気がしてならない。もちろん、マイクロソフト日本法人のリストラ率が高い理由をまじめに分析したわけではないので断言はできない。しかし、少なくとも、勝間和代が言うような「日本は解雇しにくい」という話はマイクロソフトのリストラの実態を見るだけでもあまり信用できない。日本国民はそういう財界発の怪しげな情報操作に何度も何度も騙されてきたことをもっと顧みるべきだと思う。
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2010年01月19日

社保庁分限免職で審査請求記者会見体験

 昨日は社保庁から分限免職処分された人達の審査請求の集団申立があり、記者会見に同席してきた。
分限免職は不当 処分取り消し求め提訴
京都新聞 2010年1月18日(月)

 昨年末の社会保険庁の廃止と日本年金機構の発足に伴い、同機構に移れずに分限免職処分になった職員のうち、京都府内の社会保険事務所に勤務していた14人を含む全国の元職員31人が18日、「雇用を守る努力を怠って免職にし、不当だ」として、処分取り消しを求める審査請求を人事院に申し立てた。

 分限免職は、民間の整理解雇に当たり、国家公務員法では組織改廃などで定員超過になった場合にすることができる。審査請求を支援する全厚生労働組合によると、1万人弱が年金機構に移ったが、過去に懲戒処分を受けた職員や、公務員としての勤務を希望した職員ら525人が免職になった。

 組合は「定員削減が必要な場合は他省庁への配転などの措置をとる。今回は免職回避の努力がなかった」と訴えている。懲戒処分歴を理由に機構に採用しなかったのは「二重処分に当たり、違法」と主張している。
 府内の36〜56歳の男女14人はこの日、京都市中京区の京都弁護士会館で記者会見した。京都市内の男性(41)は「年金機構は経験者不足で業務が混乱している。力を発揮したいのに、悔しい思いでいっぱい」と訴えた。

 どうでもいいことだが、リンク元の記事には写真が入っていて、僕は右下に手だけ写っている。会見の会場には、テレビカメラが3台も来ていて、主要な報道機関の記者はほとんど来ていたと思う。今まで何回か記者会見やったことあるけど、記者レベルでの関心は一番高かった。

 しかし、蓋を開けてみると、全国紙はベタ記事が多かった。関西ローカルのテレビではいくつか記者会見の様子も流れたのかもしれないけど、僕は確認できていない。今回の社保庁のような形で分限免職処分をすることが可能なら、公務員の身分保障など無いも同然だ。今後、この件についてどういう判断がされていくのかは、日本の公務員制度、ひいては労働者の権利全体をどうやって定めていくのか、ということの根幹に関わる。しかし、マスコミの扱いだけなら某ちゃんこ鍋屋に残業代請求の訴訟を提起したときの方が大きかった。こういう状況を見ると、毎度の事ながら、ものごとの国政上の(あるいは広い意味での労使間の関係性においての)重要性とマスコミの関心が全く一致していないという事実に気付かされる。もっとも、記者の関心は高かった訳だから、ベタ記事にしたのは社保庁職員に対するバッシング世論がとても強い状況をみたデスクレベルの判断なのかもしれない。

 そういう中で、京都新聞社は一応写真入りの記事を書いてくれた。事件の当事者が京都に在住しているからかもしれないが、全国紙が軒並みベタ記事の中で、地方紙としての意地を感じる。地方紙が大きい記事を発信すると、その記事がインターネットにも流れる。やはり、全国紙とは違う視点を持つ地元のメディアは大事だと思うのだ。

追記
 毎日新聞は、京都版のみだけど、写真入りで結構詳細に報道してくれていた。ただし、ネット上は写真ありません。
旧社保庁:分限免職取り消し請求 府内は14人不当性訴え /京都
 ◇「整理解雇」の元職員「年金記録、職人技の調査方法職場にプラス」

 旧社会保険庁を分限免職になった元職員が18日に処分取り消しを求めた人事院への審査請求には、府内では14人が加わった。過去に懲戒処分を受けておらず、明確な説明のないまま「整理解雇」された元職員もいる。記者会見に臨んだ元職員らは「長年、年金記録に携わり、職人技のような調査方法も知っている。職場に戻れればプラスになるはずなのに」と処分の不当性を訴えた。【熊谷豪】

 審査請求をしたのは、府内の社会保険事務所に勤務していた36〜56歳の男女14人。うち10人は「年金記録ののぞき見」(業務外閲覧)をしたなどとして過去に懲戒処分を受けたことがあり、新たに発足した日本年金機構には採用されなかった。

 他の4人を含めた14人は同機構発足(1月1日)前の昨年12月28日付で同庁から民間企業では「整理解雇」に当たる分限免職処分を受けた。4人は公務員として勤務し続けるため、配置転換を求めたが、不採用だった。

 業務外閲覧で処分を受けたことのある男性(56)は「他職員が自分のIDカードで業務外閲覧をした末の『冤罪(えんざい)』だ。押し問答の末、免職になるとは思わずしぶしぶ認めてしまっただけだ」と憤った。

 厚生労働省への配置転換を求めたのに不採用となった女性(41)は「昨年2月の採用面接は10分程度しかなく、いったい私の何が分かったのか。採用された人もいるが、基準は不透明で納得できない。突然収入がゼロになり、生活にも困っている」と訴えた。

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2010年01月18日

社会保険庁の分限免職処分は違法だ

 昨年の12月28日以降、社会保険庁の職員500人以上に対して、分限免職処分がなされた。
国家公務員法
(本人の意に反する降任及び免職の場合)
第七十八条  職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一  人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二  心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三  その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四  官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

 今回の処分は国家公務員法78条1項4号に基づく免職処分で、誤解を恐れずに言えば、民間の整理解雇に相当する。しかし、過去数十年にわたって、この条項が発動された例はなく、国家公務員については1964(昭和39)年に姫路城保存工事事務所と憲法調査会事務局の閉鎖にともないそれぞれ3人が分限免職されたのが最後といわれている。同様の規定がある地方公務員を含めても、余り前例のない措置だと言える。

 整理解雇は、労働者に全く責任がないにもかかわらず、その収入源を奪う重大な不利益な行為だ。民間の企業が整理解雇を行う場合は、その前提として、解雇を回避するための努力、すなわち人員削減以外の経営努力、配置転換による解雇の回避、自主退職の募集、一時休業等を行うことが求められる。経営者がこれらの措置をとるべき義務を解雇回避努力義務という。これは判例法理により確立してきたものであり、現在では、解雇回避努力義務を尽くしていない解雇は労働契約法16条違反で無効とされる。
労働契約法
(解雇)
第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


 公務員の分限免職処分の場合、分限免職処分を行うための条件について、明文規定はない。しかし、分限免職処分は公務員の職を奪う重大な不利益処分である点は民間の整理解雇と全く一緒なのだから、民間労働者との均衡上、当然、分限免職処分を回避するための措置が必要といえる。
 判例上は、1968(昭和43)年に市立病院の職員が、経営再建のために、国家公務員法78条1項4号と同趣旨の地方公務員法28条1項4号に基づいて分限免職された例で、福岡地方裁判所昭和57年1月27日判決が「地公法二八条一項四号による分限免職処分は、同項一号ないし三号の場合と異なり、被処分者になんらの責に帰すべき事情がないにもかかわらず、その意に反し任命権者の一方的都合により、被処分者及びその家族の生活の基盤を根底から破壊するものであり、また、地方公務員については、現行法上争議行為が禁止され、私企業におけるのとは異なり人員整理に対する労働者側からの重要な対抗手段を欠いていることを考えると、任命権者が、必要やむをえず地公法二八条一項四号に基づく免職処分をしようとする場合においても、処分対象者の生活の維持に配慮し可能な限り配置転換その他免職処分を回避するための措置を講ずべきである。そして、配置転換等が比較的容易であるにもかかわらずこれを考慮しないで直ちに分限免職処分をした場合には、その処分は、手続上の合理性を欠き裁量権の濫用として違法となるものと解するのが相当である。」と述べて、分限免職回避のための努力義務を尽くさない場合には分限免職が違法であるとし、実際に一部の者に対する分限免職処分を取り消す判決を出している。
 他にも、事例は異なるが、地方公務員である学校の校長が適格性を問題として分限免職された例で、最高裁判所は昭和48年9月14日の判決で「分限処分が降任である場合と免職である場合とでは〜中略〜降任の場合は単に下位の職に降るにとどまるのに対し、免職の場合には公務員としての地位を失うという重大な結果になる点において大きな差異があることを考えれば、免職の場合における適格性の有無の判断については、特に厳密、慎重であることが要求される」と述べており、分限免職処分が公務員としての地位を失う重大な処分であることに鑑み、特に厳密、慎重な判断が求められる旨判示している。
 裁判所が、分限免職処分を、公務員の職(すなわち生きる道)を奪う究極の手段と捉え、抑制的な態度をとっているのは明らかだろう。

 今回の分限免職処分がなされるに際して、分限免職を回避するための措置が真面目に行われた形跡はほとんどない。年金業務を引き継ぐ日本年金機構については1000人以上も外部から新規雇用する一方で社保庁職員の雇用を拒み、厚労省や他省庁を含めた配転のための措置もほとんど取られていない。今回の分限免職処分をめぐる法的論点は、その他にも多数にのぼるのだけど、僕は、この一点を捉えても、今回の分限免職処分は、全体として、違法であり、取り消されるべきだと思う。
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2009年12月29日

社保庁:真実は隠され首は飛ぶ

 社会保険庁職員が大量に分限免職処分された。
分限免職処分、500人に=社保庁廃止に伴い初の大量解雇
12月28日12時36分配信 時事通信

 来月1日の「日本年金機構」発足に伴い、今月末で廃止となる社会保険庁で、民間企業の「解雇」に当たる「分限免職」処分となる職員が500人超に達することが28日、明らかになった。長妻昭厚生労働相が同日午後、発表する。憲法などで身分が保障されている公務員の大量解雇は例がなく、今後、訴訟に発展する可能性もある。
 国家公務員の分限免職は、1964年に姫路城保存工事事務所の廃止と、憲法調査会事務局の廃止に伴い、それぞれ3人に行われて以来、45年ぶりとなる。国家公務員法では、組織の改廃に伴う分限免職を認めているが、任命権者には、分限免職を回避する努力義務が課されている。
 長妻厚労相はこれまで、社保庁で懲戒処分歴のある職員は年金機構で不採用とする一方、分限免職回避策として、一部は厚労省の非常勤職員として採用する方針も示していた。

 分限免職処分というのは、懲戒免職以外の場合で、本人の意に反して免職(民間の解雇)するときに発する処分で、法律には
国家公務員法
(本人の意に反する降任及び免職の場合)
第七十八条  職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一  人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二  心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三  その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四  官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

と書かれている。今回は78条四号の「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」で免職しようとしている。

 国民世論は、年金記録を散逸させた悪者を退治したような雰囲気で、この処分に反対する人は少ないように見える。
 しかし、社保庁バッシングのかなりの部分は自民党と社保庁幹部が結託したフレームアップだ。年金記録が適正に保管されておらず、将来問題になる、という指摘は政府内部でも1950年代からあった。その通りに年金記録問題が起きたのに、歴代の総理大臣も、厚生大臣も、歴代の社保庁長官も、幹部も誰も責任を取らなかった。代わりに、自分たちには保管の方法を変える権限もない一般の職員たちがなぜか悪者にされ、首を切られてしまう。茶番劇はそれで「めでたしめでたし」で終わるが、現実の年金問題は何も解決せず、改組後の日本年金機構も体制にかなりの問題を抱えていると聞く。

 労働者の側にも、オートメーション化に頑強に反対してきた大労働組合があったのは事実だし、その組合の方針の肩を持つ気はない。しかし、その組合の人たちは首切りにあっても最終的には労組が就職先を探してしまうだろう。
 
 僕が知っている社保庁の(元)職員はそういう大労働組合に入っていた人たちではない。力関係の中で、本当に責任のある人間はみないなくなり、最後に取り残されて「首切り」という結果だけが残る人たちだ。

 僕はこういう処分は不当だと思うし、許せない。何かしら声を上げなければいけないと思っている。国民世論が厳しいのは承知の上だが、こんな滅茶苦茶なことを許しては、働く人全体が「明日は我が身」になってしまうのだ。
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2009年12月25日

郵政の非正規労働者がワーキングプア

 先日、「郵政労働者が年賀状を押しつけられる現状」という記事を書いたが、今度は、郵政の非正規労働者がワーキングプア化している現状について記事を見つけた。

 最近、郵便物を夜遅くまで配達するようになった。配達に来る人は若い人が多いし、何となく手慣れていない。あの人たちはひょっとしたら非正規労働者なのではないか。

 若い労働者をいじめて、安い給料でこき使って、「サービスがよくなった」と言ってみても、それは苛烈な搾取の上に成り立つサービス向上であって、国営企業としては全くふさわしくない姿だ。まして、それで利益を上げて株主に配当するなんてことは許し難い。郵政民営化の正体が、若い労働者から富を収奪して、金持ちで分配するだけのシステムに見えてならない。収奪で国民の購買力が下がってきたら「エコポイント」だの「エコカー減税」だのやって、税金まで投入して消費を維持しようとする。これって根本的に構造が間違ってないか。

 労働条件の向上のために、労働者同士が団結して闘わなければならない条件は、どんどん進んでいるように思う。今、みんな忙しくて、話をする暇さえないし、ちょっとものを言えばすぐ首を切られるから、立ち上がることすらできないのだが、さて、どうやって声を上げるべきか。



2009年12月24日(木)「しんぶん赤旗」
日本郵政の労働者
非正規の64% 200万円(年収)以下
低賃金と雇用不安


 日本郵政グループ5社の非正規社員17万2316人のうち64%が年収200万円以下であることが23日までに明らかになりました。国会で郵政の非正規労働者の問題を取り上げ、調査を求めていた日本共産党の山下芳生参院議員に同社が回答を寄せました。
山下議員に回答

 民営化されたとはいえ政府が株式を100%保有し、郵政サービスを担う企業が、大量のワーキングプア(働く貧困層)を生み出していることを示すもので、この面からも郵政民営化の見直しが求められます。

 日本郵政によると、年間を通じて雇用されている非正規社員のうち、2008年度に年収200万円以下だった人は、週所定労働時間が40時間の6485人(3・7%)と、40時間未満の10万3830人(60%)の11万315人。200万円超は両者合わせても6万2001人(36%)でした。(いずれも2009年3月時点)

 現在の非正規社員は臨時的に雇われている人などを合わせて21万5800人。人件費削減のため、民営化後の2年で正社員は6000人減らされる一方、非正規社員は1万5000人も増えました。郵政5社のうち、非正規社員が一番多いのは郵便事業会社で15万5612人となっています。

 しかし、非正規社員の多くは正社員と同じように基幹的な業務を担いながら、低賃金と雇用不安にさらされており、掛け持ちで働いている人も少なくありません。こうしたなか郵政産業労組など労働組合が非正規労働者の待遇改善などを求めてたたかい、正社員化や月給制職員の賃上げなどを実現しています。
正社員化・待遇改善を

 山下芳生参院議員の話 日本一のワーキングプアを生み出す企業になっているといっても過言ではない実態です。郵政民営化による営利追求のため正規社員を非正規社員に置き換えてきた結果です。公共サービスを担う労働者がこういう状態に置かれていることは、労働者本人はもとより郵政事業にとっても大問題です。郵政民営化の見直しのなかで、郵政サービスの拡充と併せて、非正規社員の正社員化や待遇改善をしっかり位置づけて取り組むよう求めていきたい。
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