2010年04月10日

行列のできる法律相談所が違法行為:放送法・公選法違反

 3週間ほど前、ツイッターで以下のように呟いた。
昨日の「行列のできる法律相談所」はさすがにやり過ぎだったのでは。自民党の議員ばかり3人も出し(最後チラ出の丸山弁護士含む)、選挙区まで字幕を出して、あからさまに応援していた。伸助も「自民党」と政党名をはっきり言っていた。あんなことやるようでは番組の先が無くなるぞ。
7:16 PM Mar 22nd webから

なんか、伸助の下心も見えてしまう気がするんだよね。「恩きせといて当選したら見返り求める」っつー感じ。そんなに政治好きならとっとと出馬せい。
7:19 PM Mar 22nd webから

 これは単に腹がたって、一視聴者としてのつぶやきだったので、法律的なことは考えていなかった。

 そうしたら、もっとちゃんと考えて問題提起していた人がいたようだ。
「行列のできる法律相談所」に公選法違反の指摘
特集 参院選

 日本テレビ系バラエティー番組「行列のできる法律相談所」が3月21日に放送した内容に、視聴者から「公職選挙法に違反するのでは」との指摘が放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会に寄せられていたことが9日、分かった。

 同委員会は、日本テレビに事実関係を確かめた上で審議の対象とするか検討する。

 同委員会によると、当日は「気の毒な夫決定戦」をテーマに放送。丸川珠代参院議員と夫の大塚拓前衆院議員(ともに自民)が出演中、大塚前議員の選挙区名や、「比例区は自民党」という発言をそのままテロップで流した。丸川氏は今夏に予定されている参院選の改選対象ではない。
(2010年4月10日02時37分 読売新聞)

 確かに、丸川珠代は今年の夏の参議院選挙には出ないが、今年の夏の選挙でも「比例区」はあるから、島田伸介がそこで自民党に投票するように宣伝すれば公選法上の「選挙運動」になる。それを選挙期間前にやれば「事前運動」になり違法行為だ。

 僕は選挙は活発にやるべきだと考えている立場なので、公選法との関係で違法云々はあまり言いたくないが、さらに問題なのは放送法の方だろう。
放送法
(目的)
第一条  この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一  放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二  放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三  放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

 放送は不偏不党の立場で行われなければならない。あの番組の扱いは、明らかに不偏不党の立場を踏み外していたし、露骨に自民党の選挙宣伝をやっていた。前からそんなに好きではなかったが、島田紳助が嫌いになった。

 バラエティー番組があれではいかん。是非、厳正に襟を正していただきたい。
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2010年03月04日

名古屋・河村市長が小選挙区制希望の怪

 名古屋市の河村たかし市長が名古屋市議会の定数を半減させた上で小選挙区制を導入しようとしているようだ。
しんぶん赤旗 3月2日
河村名古屋市長
市議定数75→38 削減案
「民主主義守れ」住民運動
議会の役割弱める


 名古屋市の河村たかし市長(前民主党衆院議員)が、開会中の2月市議会に市議定数半減と選挙区定数案を提案するとして、その内容が明らかになりました。同市長は9日、議会に追加提出する方針です。
写真

(写真)議員定数削減に批判の発言が続いたシンポジウム=2月27日、名古屋市

 市議会の定数は、現行の75を38に減らします。同市の選挙区16区のうち、過半数の9区を定数1ないし2にするとしています。

 1選挙区で1人しか当選できない小選挙区や二大政党の議席独占をもたらす2人区は多数の「死に票」を生み、少数意見など市民の多様な意思を切り捨てることになります。

 名古屋市の総人口は約225万人。地方自治法の定める上限定数は88です。定数38になれば、政令市中最少の人口約70万人の岡山市を下回り、県内では人口38万人の岡崎市より少なくなります。

 河村市長は、この議員定数半減を、政務調査費廃止、議員報酬半減と合わせて「議会改革」条例案として提出します。

 これらのねらいは、「議会改革」の名で議会の役割を決定的に弱め、市長の強権体制を確立することにあります。同市長は、首長と議会の「二元代表制」について「立法ミス」と主張しています。

 水田洋・名古屋大学名誉教授ら著名な13氏は1月8日、市議定数半減に反対し民主政治を守るための共同声明を発表。賛同者が急速に広がっています。

 日本共産党名古屋市議団が2月27日開催した議会改革シンポジウムには会場満員の200人の市民が集まり、議員定数削減を批判する声があがり、民主主義を守る運動をいっそう強めていく機運が高まっています。

 江上博之・党市議団幹事長は「『定数半減反対、民主主義守れ』の一点で広範な市民と共同し、河村市長の暴挙を阻止したい。市民に、市長への申し入れ、議会各会派やマスメディアへの要請、宣伝、集会など、緊急の行動を呼びかけていく」と話しています。

 地方自治体は「民主主義の学校」である、と言われる。以前は「真剣勝負の政治が「学校」ってどういうことだ」と思っていたが、最近はこの言葉の意味するところが分かるようになった。住民が声を上げ、その声を余すところ無く拾い上げて施策に反映するのが地方自治体の役割なのであり、民主主義を身近に実戦する場になる。そして、そうやってみんなが意見を聞かれて声を出せる、というところが学校のクラスでやる会議にも似ているのだ。だから、政令市以外の市町村では議会の選挙も全域を一区にしてやっている場合が多い。政令市でも各選挙区にはそれなりの議席数を配分して多様な意見が通りやすいようになっている。

 名古屋の河村市長は就任以後、マスコミを味方に付けて派手な発言が目立つ。この議員定数削減問題は、定数を削減すること自体の問題と、小選挙区制を導入しようとしている問題が混ざっているのだが今日は後者のみ触れる。
 議員を減らすときによく言われる議論は「無駄削減」論だが、議員を抱えるコストが問題なら議員報酬を減らすとか、議論の余地は沢山ある。コスト論を前面に出して小選挙区制を導入するのは全く理屈が通らない。
 結局、見えてくるのは、記事の後半に書いてある、首長vs議員という現在の地方自治制度が「立法ミス」だという河村市長の考え方だ。小選挙区制を導入すると、多様な民意は切り捨てられて、一番声の大きいところの意見だけが通るようになる。これは市長選で一番になっている市長の意見と一致する傾向が出るだろう。小選挙区制にすることで反対勢力の議会進出を阻止し、市長独裁をやろう、という恐るべき計画が見えてくる。河村市長の場合、発言からすると、その意図を隠そうとすらしない。
 橋下知事の時にも書いたが、権力者が「俺に独裁権限をくれ」と図々しく発言する事態にはよくよく注意する必要がある。まして、名古屋市は基礎自治体だ。国政選挙は小選挙区制が主流で民意が反映されない状態なの(=大量の死票)、地方議会にも民意が反映されなくなったら、日本の民主主義は死ぬ。こんな暴挙を許してはならない。これはコストの問題ではない。民主主義の問題だ。
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2010年02月25日

日本経団連「金融商品」:成績連動型政治献金の破綻

 タイトルはただの嫌み。日本経団連が政党の政策評価とその採点に基づく献金(の誘導?)を止めるようだ。
経団連、政治献金への関与を停止 影響力低下も

2月25日12時9分配信 産経新聞
 日本経団連は25日、企業が政治献金をする際の目安とし年1回まとめていた政党ごとの政策評価を取りやめ、献金への関与を打ち切る方針を明らかにした。政治とカネをめぐる問題への世論の批判が高まっいていることに加え、鳩山政権が将来の企業・団体献金の禁止を打ち出していることから、政治との関係を見直すことにした。

 3月8日の正副会長会議で正式決定。今後は各企業の自主判断に委ねる。自民党政権時代は、“金も出すが、口も出す”との姿勢で、献金を取りまとめ、経済界が主張する政策を求めてきただけに、献金への関与の停止で、日本経団連の存在感が低下する懸念もある。

 経団連は2004年に政党政策評価を通じて企業に自主的な献金を促す方式を導入し、政治献金に関与してきた。08年の経団連会員企業の献金額は民主党向けが約1億円、自民党向けが約27億円だった。

 鳩山政権は、供給サイド(企業部門)よりも、需要(家計部門)に軸足を置く姿勢を鮮明にしており、経団連との溝も指摘されている。

 日本経団連のやり方は本当にえげつないものだ。自分たちの観点で勝手に政党の政策と実績に成績を付けて、成績に応じてお金を分配する。上に書いてあるように08年は民主党は1億、自民党が27億、という結果になっている。
 
 これって、かなり露骨な買収行為だ。でも、個々の政策決定を買収すれば贈収賄罪なのに、政党の政策全体をまるまる買ってしまえばワイロにならない。これはおかしな話だと思う。

 日本経団連の構想は、単純小選挙区制を導入して第三党以下を排除し、ひも付きの政治献金で自民党と民主党に手綱をつけ、どっちに転んでも財界優先の政治をやるように誘導することだった。その構想が破綻しつつあるのは歓迎すべきことだろう。企業は、政治献金する金があるなら、設備投資するなり、派遣社員の給料あげるなりすべきだ。
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2010年01月04日

民主党のネット選挙解禁論に若干の異議

 民主党が、ネット選挙を解禁する公選法の改正をするつもりのようだ。それ自体は歓迎したい。ネット上で候補者の名前書くことすら場合によって犯罪とされる状況は異常だ。
ネット選挙運動解禁、参院選から…民主方針

1月4日3時11分配信 読売新聞
 民主党は公職選挙法を改正し、インターネット利用や戸別訪問を解禁して選挙運動を大幅に自由化する方針を固めた。

 ネット利用解禁は、1月からの通常国会に改正案を提出し、夏の参院選からの実施を目指す。戸別訪問解禁は参院選の公約に掲げ、秋以降に法改正する考えだ。

 公選法は選挙運動の公平性のため、配布できる文書類をはがきやビラなどに限っている。この規定に基づき、選挙中のホームページ(HP)更新も違法な「文書図画の配布」にあたり、禁じられると解釈されている。投票を依頼する目的で有権者の自宅などを訪れる戸別訪問も買収などを防ぐために禁止されている。

 これに対し、民主党では小沢幹事長らが選挙運動の自由化を主張している。政権公約(マニフェスト)選挙の定着などで選挙が政党中心に行われ、自由化が買収などにつながりにくくなったと判断している。昨年の衆院選で主要政党が選挙中にHPを更新するなど、ネット利用禁止がなし崩しになってきており、実態に即した改正を行うべきだという声も強まっている。

 ネット利用は、選挙中のHP更新だけでなく、電子メール使用も可能にする全面的な解禁とする方針だ。ただ、〈1〉投票日のHP更新は認めない〈2〉メールの送信対象は登録者に限定する〈3〉改ざんの恐れがあるため、選挙公報はネットに掲載しない――などの制限を加える案が出ている。

 自民党は、他人が候補者の名前をかたる「なりすまし」が容易なメールの解禁には否定的だ。民主党もなりすましや中傷の対策などをさらに検討する考えだ。

 民主党は5月末までに改正案が成立すれば、参院選でネット利用を解禁できるとみている。「インターネット選挙運動解禁研究会」(田嶋要会長)で検討し、議員提案で国会に提出する構えだ。一方、戸別訪問は1925年の普通選挙法制定以来、戦後の一時期を除いて禁止されており、解禁は選挙運動の抜本的な変化につながる。民主党は与野党協議に時間がかかると見ており、ネット利用解禁を先行させる考えだ。

 ◆解禁されれば、こんな事も◆

 ▽選挙期間中、党のホームページに候補者の演説内容の動画を掲載する

 ▽候補者が選挙中の動きを随時、ブログに掲載する

 ▽民間団体が、選挙中の候補者のホームページやブログを一覧できる候補者紹介サイトを開設する

 しかし、この「ネット選挙解禁論」は、以前の「ネット選挙解禁求めるYAhoo!広告の誤り」(記事はこちら)で書いた通り、日本国憲法が保障する表現の自由の観点からは致命的な欠陥を抱えている。
 
 そもそも、上に書いたような候補者の名前も書けない異常な状況は、ネット選挙に限ったことではない。ノートに鉛筆で書いて回覧しても同じ事なのだ。それどころか、政党ですら、自分のところの候補者の名前すら、いくつかの例外を除いてチラシに書けない。圧倒的に現職候補が有利で、お金持ちが有利で、違法しても警察が目をつぶる権力側(与党側)の候補が有利な制度だ。

 そして、前にも書いたように、このようながんじがらめの規制は明治憲法下の無産者弾圧のための法律に淵源がある。もともと日本国憲法とは相容れないものだったのを、自民党の手前勝手な都合で規制を強化して今日まで生き延びてきたものだ。裁判所すら、自民党の権力に屈服して(あるいは戦時中の自分たちの失態を正当化するためか?)、これらの規制に理屈にもならない屁理屈をつけて合憲としてきた。実例としても、文書図画頒布罪で捕まって判例になっているのは圧倒的に共産党や旧社会党の例が多いことは知っておくべきだろう。

 憲法違反(だと僕は信じている)の文書図画頒布規制は、根底から撤廃すべきなのだ。それこそが自民党の古い政治との決別になる。ビラまくのは自由、ネットも自由(憲法)→なぜか選挙向けはだめ(公選法)→ネットだけお目こぼしするよ(公選法)という三段階の規制は屋上屋を掛けるものだ。今でさえぐちゃぐちゃになって一読しても弁護士ですら意味不明の公選法がさらに分かりにくくなる。選挙法なんて、一般国民が読んで、やっていいことと悪いことの区別が付かなければ意味がない。

 民主党は下手な部分解禁を止めて、文書図画頒布規制を全面撤廃すべきだ。「参議院戦後に戸別訪問解禁」という新聞記事の内容も、実は重大な内容をはらんでいるんだけど、それはまた別の機会に。
posted by ナベテル at 08:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 公職選挙法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月01日

ネット選挙解禁求めるYAhoo!広告の誤り

 Yahoo!が「来年も、今年と同じ選挙でいいですか?」という意見広告を出している。URLはhttps://event.yahoo.co.jp/election/index.html。僕は、ネット選挙は大いにやればいいと思うし、ネット選挙解禁論は賛成だ。

 しかし、この広告は大きな誤りを犯していると思う。日本の公職選挙法がネット選挙をそれとして禁止したことは実は一度もない。そうではなく、公選法は「選挙運動」のための「文書図画の頒布」を原則禁止しているのだ。この「文書図画」(ぶんしょとが)の概念がまことに不思議で、紙媒体のチラシはもちろん、看板、プラカード、映画、電飾、テレビ、ビデオ、DVD、そしてインターネット上のホームページ(もちろんYouTbe含む)やメールなど、およそ可読な媒体は全て含まれる。だから、インターネット上の選挙運動もできないのだ。

 そして、この文書図画の規制は、明治憲法下の治安維持立法の一環として生まれ、戦後も自民党政権下で生きながらえ、むしろ増殖してきたもの。本来は日本国憲法の制定と同時に廃止されるべきだった悪しき規制立法なのだ。この文書図画規制の廃止を求めずに「インターネット上で選挙運動ができないのはおかしい」という理屈の建て方は我田引水だし、世論形成の主導権狙い、アクセス増による広告収入狙いが透けて見えてしまう。

 議論するなら、もっと幅の広い議論をして欲しい。


posted by ナベテル at 11:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 公職選挙法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする