2014年06月24日

女性差別発言の陰で華麗にスルーされつつある麻生元総理のいじめ発言

 タイトルをちょっと書き間違えたかもしれませんがなおすのが面倒くさいので投稿します(追記:やっぱり「アホウ」から「麻生」に改題しました。)。昨年、ナチスのやい方を見習ったらどうだ、と発言し、現に、国民投票すらやらずに閣議決定で憲法9条を破壊しようとばく進している麻生副総理が、またしてもやらかしたのに、S都議の女性差別発言に隠れて完全にスルーされている。
麻生副総理「3つそろうといじめの対象に」 朝日新聞2014年6月23日11時29分
 麻生太郎副総理兼財務相は宇都宮市で21日に開かれた自民党の会合で、「勉強のできない」子のうち、「貧しい家の子」は無視され、「金持ちの子」はいじめの対象になるという趣旨の発言をした。集団的自衛権をめぐる例え話の中で語った。
 TBSのニュース映像によると、麻生氏は「学校で一番いじめられるヤツはどんなヤツかと言えば、けんかは弱い、勉強もできない、しかも貧しい家の子と、三つそろったらまず無視。いじめの対象になりません。しかし、勉強はできない、けんかは弱い、だけど金持ちの子、これが一番やられる」と述べた。ある状況が重なるといじめにあうと受け取られる発言で、いじめが深刻な社会問題になる中、波紋を呼びそうだ。
 菅義偉官房長官は23日午前の記者会見で「麻生氏はいじめを許容、正当化する意図は全くなかったと考えている」と述べた。

 元ネタのTBSのニュース報道は以下の通り。

 この発言、一国の現職の副総理の発言ですよ?「先の副将軍・水戸光圀公であらせられるぞ」よりも偉いんですよ?親の資力と子どもの学力に相関関係があると言われるようになって久しいが、貧困家庭は無視されて当然といわんばかりだ。到底容認できるものではない。S都議もそうだが、この人も日本の典型的なパワハラオヤジだし、英語はしゃべれるはずなのに踏襲(とうしゅう)が「ふしゅう」になるこの御仁は、お口にチャックする機構をクレー射撃で蜂の巣にしてしまったんじゃないかとすら思う。
 総理大臣やってた頃は巷でアホウ首相と言われていたし、その実態は今だって何も変わってないことを、思い出すべき時だろう。


 なんちゅーか、又吉イエスによって地獄の業火に投げ込まれて欲しい気持ちでいっぱいなのだが、やはり選挙でお仕置きするしかないんだろうね。
posted by ナベテル at 11:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月23日

自民党は鈴木あきひろ都議の会派離脱で責任回避できるか

 先週末から「S都議」などと報道されていた自民党の鈴木あきひろ都議がついに謝罪の記者会見を開いた。てっきり、議員辞職くらいするのかと思ったら、東京都議会の自民党の会派を離脱してお仕舞いなのだそうだ。

1 会派離脱の意味
 筆者が軽く調べた範囲では、地方自治体の議会について、法律で「会派」という概念はない。東京都議会の議会会議規則の126条にわずかに「各会派」という概念があるのみである。この点、東京都議会のホームページでは「都議会も国会と同じように、「会派(政党)」を中心に活動しています。政治上の主義や政策を同じくする議員が集まり、政治活動を行うことを目的として、議長に会派結成届を提出している団体を「会派」といいます。 」との記載があるので、都議会の議長に、鈴木氏が「オレ、東京都議会自由民主党から離脱しますわ」と届出をすれば終了である。
 もちろん、会派離脱によって活動に制約がかかる可能性はあるが、今後も自民党と共同して行動できるし、次回の都議選で自民党が鈴木氏を公認することも何ら問題ない。
 そもそも、国政レベルでは同じ政党に所属しているはずの人たちが、東京都議会では最近まで「みんなの党」と「都議会みんなの党」で別の会派に分かれていたようなので(今は「都議会結いと維新」と「みんなの党 Tokyo」になったようだが)、都議会の「会派」という概念はそれくらい緩いものなのだ。
 会派を離脱したからといって、有権者や国民との関係で何らかの責任を取ったことにならないことは明らかだろう。

2 で、自民党はどうするのさ
 選挙で公認した議員である以上、鈴木氏には自民党の党籍があるはずであり、党の規律に服するはずである。そして、鈴木あきひろ氏は自民党を離党したのだろうか?また、自民党は鈴木氏の離党届を受理してしまったのだろうか?まさかそれはないよね。そうであれば発表するはずだ。
 そして、自民党には組織として当然ながら「党則」をもっており、下記のように定める。
第九十二条 党員が次の各号のいずれかに該当する行為をしたときは、党規律規約の定めるところにより、処分を受けるものとする。
一 党の規律をみだす行為
二 党員たる品位をけがす行為
三 党議にそむく行為

 さらに自由民主党規律規約ではまず以下のように格調高く党の規律を定める。
第五条 党員は、党議を誠実に実践し、規律と品位を重んじ、日常生活を通じ、党と国民との間にあって常に紐帯的役割を果たし、国民の信頼を高めるとともに、党勢の拡張に努力しなければならない。

 その上で、規律規約第九条で処分について以下のように定める。
第九条 党員が次の各号のいずれかの行為をしたときは、処分を行う。
一 党の規律をみだす行為
(省略)
二 党員たる品位をけがす行為
(イ)汚職、選挙違反党の刑事事犯に関与した行為
(ロ)暴力行為
(ハ)その他党規律委員会において党員たる品位をけがすものと認めた行為
三 党議に背く行為
(省略)

 そして、処分の量定に関しては、同じ第九条の二項、三項で
2 党規律委員会が行う処分の種類は、次のとおりとする。
一 党則の遵守の勧告
二 戒告
三 党の役職停止
四 国会及び政府の役職の辞任勧告
五 選挙における非公認
六 党員資格の停止
七 離党の勧告
八 除名

3 幹事長が行う処分の種類は、次のとおりである。
一 党則の遵守の勧告
二 戒告
三 党の役職停止
四 国会及び政府の役職の辞任勧告

 あれ、規律委員会を開催しなくても、石破幹事長が処分を下せるんだ!へー。で、鈴木氏は当然今でも自民党籍があるだろうし、党員たる品位をけがしまくって、党と国民の結びつきを切り裂きまくってるのは間違いないですよね??

3 自民党もまだ終わってないぞ
 このエントリは鈴木あきひろ都議が自ら取るべき責任については検討しない。また機会があればやろうと思う。
 しかし、自由民主党が鈴木氏を都議会の会派から外しただけで、責任逃れできると思うのは大間違いである。
 まず、報道によると、複数の都議がヤジを飛ばしており「産めないのか」発言の主(仮にXとでもしておこう)については、まだ発言者が特定されていない。鈴木氏だけスケープゴートにすれば済む問題ではない。自民党は、党の責任で発言者を特定すべきである。
 そして、日本国の政権与党である自由民主党が、自らの党員であるXと、鈴木氏について、自らの党則、規律規約に基づき、どのような処分をするのかが問われているのである。
 現在、安倍政権は女性の社会進出を政策として掲げるが、実際は、残業代ゼロ法案や、労働者派遣法改悪案など、労働法制で守られた労働者の地位を破壊し、貧困化させて、女性が社会進出せざるを得ない社会を作ろうとしている。一方、待機児童問題しかり、認定こども園しかり、保育に関する政府や自治体の責任を放棄し、予算を削減することばかり考えている。こんなことで少子化対策ができると本当に思っているのだろうか。
 そういう自民党が、鈴木氏とX氏をどこまで処分できるのか。これこそが論点であり、目下の見所なのである、と感じている。石破幹事長、火の上の鉄板に座っているのは、あなただ。

2014.6.23 23:10追記
 記者会見の最後の方でもろに出てた。会派を離脱しても、トカゲのしっぽ切りにすらなっていないのだ。
【全文】「塩村議員に早く結婚して欲しかった」 鈴木章浩議員”セクハラヤジ問題”謝罪会見書き起こし
記者:会派を離脱されるということですけれども、自民党の籍はそのままっていうことで宜しいんですか?
鈴木:とりあえず今の段階ではそのようになっております。

2014.6.24 11:50追
麻生総理も週末に爆弾発言をかましてるのでセットで書きました。良ければこちらもどうぞ。
「女性差別発言の陰で華麗にスルーされつつあるアホウ元総理のいじめ発言」
http://nabeteru.seesaa.net/article/400173843.html
posted by ナベテル at 19:11| Comment(1) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月06日

政商納言・竹中平蔵の「ぱそな儲かりていとをかし」

【政商】(せいしょう)政府や政治家と特殊な関係をもって、利権を得ている商人。
【納言】(なごん)大納言・中納言・少納言の総称。ものもうすつかさ。のうごん。
【大納言】(だいなごん)律令制で、太政官の次官。右大臣に次ぐ高官で、公卿の一員として国政を審議し、可否を上奏し宣旨を伝達することをつかさどった。亜相。おおいものもうすつかさ。
(いずれも広辞苑より)

学者としての業績は???
 竹中平蔵の学者としての業績をネットで検索しても、あまりいい話は出てこない。ウィキペディアの「竹中平蔵」の項目を見ても、学者として良い話はほあまり書いていない。慶應大学湘南藤沢キャンパスのホームページの「研究業績」を見ても、竹中の業績は3つしか記載がなく少なさが際立っており、かつ、直近の著作が2009年と5年も前の話だ。ぜひ、下記で他の研究者と比べてみて欲しい。
 慶應義塾大学SFC研究所「研究業績」
 また、下記のようなブログも発見した。
「日本がアメリカ化したら最も困るのは竹中平蔵?」

 一方、2007年より人材派遣会社パソナの取締役となり、現在は取締役会長であるらしい。同社のホームページでも、最近何かと話題の南部靖之代表と並んでものを語っている(→こちらを参照)。

政府の審議会に入り込み政商として辣腕を振るう竹中平蔵
 人材派遣会社であるパソナ会長としての竹中平蔵の役割はただ一つであろう。労働者保護のための労働法制を規制緩和し、労働者を使い勝手の良い“商材”に仕立て上げることだ。現在、竹中平蔵は政府の審議会である「産業競争力会議」の委員となり、労働法制の緩和のために辣腕を振るっている。
その1 派遣労働者の大幅拡大の目論見
 現在、国会には、労働者派遣法の改悪法案が提出されている。今国会での成立は微妙だが、秋の臨時国会では、鋭いテーマとなるだろう人材派遣会社にとって、言うまでも無く、派遣労働者は主力の“商材”だ。しかし、派遣労働は労働者の保護が弱いため、建前上は、一貫して例外的な労働形態とされてきた。もし、今回の派遣法改悪が実現すれば、今の直接雇用に変わって「労働者派遣が普通の働き方」になるだろう。詳しくはブラック企業対策弁護団代表の佐々木亮弁護士の記事を参照頂きたい(→こちら)。竹中平蔵は、この改悪の旗振り役である。
その2 職業紹介業務の民間開放
 今年の9月からハローワーク(公共職業安定所)が保有する求人情報を民間企業(要するに人材派遣会社)が共有できるようになった。来年には求職情報も開放される予定だ。人材派遣会社にとってはまたとないビジネスチャンスだろう。
 奇しくも昨日、安倍首相が「国家公務員の10%減」を打ち出したそうだが、その際、公務員が担っている業務の多くが無理矢理“民間開放”されて外注に出され、外注先は大量の非正規労働者を使って業務を処理することになるだろう。というのも「10%減」自体が無茶苦茶な数字で、スケープゴート無しには達成できないのではないか、と思うからである。小泉改革で「公務員5%純減」の方針が出された後、第一次安倍政権下で社会保険庁(正規職員は約1万3000人、非正規職員は約7000人いた)を解体する法律が作られ、正規職員1000人が免職された後、現在、年金業務は、日本年金機構の正規職員1万0880人と将来年金を貰えるかどうかも分からない約1万人の非正規職員、そして業務外注先の、これまた将来年金を貰えるかどうかも分からない大量の非正規労働者によって支えられている。これは確実に先例となるだろう。
 外注先の非正規労働者たちの職業紹介は人材派遣会社の草刈り場となる可能性がある。そして、今回の場合、そのうち、ハローワーク不要論が不自然に盛り上がり、解体され、ハロワ職員が大量に免職され、民間の職業紹介のお世話になるんじゃないかという嫌な予感がしている(なお、公務員をやっているような人は民間の事務労働者としては極めて優秀な人が多く、首を切られた人たちも派遣業者の“商材”となりうる)。
その3 その他人材会社のお手盛り政策
 もう多くは語るまい。
 日刊ゲンダイ:竹中平蔵氏が旗振り 人材会社を潤わす「300億円」助成金
 Business Journal:安倍政権の女性登用推進、発注先に政府関係者の関連企業が複数 麻生、竹中…新たな利権か
その4 残業代ゼロ制度を強力に推進
 産業競争力会議は「残業代ゼロ」制度も強力に推進している。この制度については散々懸念が表明されている。例えば上西充子・法政大学教授の論考を紹介しておく。
「「残業代ゼロ」案、「全労働者の1割」と「ホワイトカラーの1割」は違うよ?」
「なし崩しに進みかねない労働時間規制緩和」
 残業代ゼロ制度は、人材派遣会社にとっては“商材”である派遣労働者の調達コストの大幅なダウンを見込める。そして、残業代ゼロ=労働時間規制の撤廃であり、これが過労死促進法案と言われる所以でもあるが、この点について、竹中平蔵は東洋経済の取材に対して「それは労働基準監督署の機能強化が必要な問題で別の話。それこそ厚生労働省が頑張れと言いたい。」とうそぶいている(記事はこちら)。
 しかし、現在、労基署の職員数はもはや極限まで削減されている。筆者が担当している某労災案件では、労基署の労災課の課長が自ら労災認定手続をやっていた(しかも、あれ、他の課員いないんじゃないか?)。今、労働局も、労基署も、どこへ行ってもなんだかがら〜んとしていて、人口密度の低い印象を受ける。竹中平蔵は小泉改革のときの公務員削減にも関わっているはずであり、上記安倍首相の公務員削減計画を知らなかったとはあまり思えない。
 このように、竹中平蔵は、審議会の委員として、労働者をまとめて猛獣が歩き回るサバンナに放り込むような政策の旗振り役を担っており、都合の悪いことは平気でシラを切る。それによって、パソナ取締役としての業務を立派に遂行しているのである。そう、竹中平蔵は、立派な政商なのである。

海外では・・・・

 イギリスでは、国民を騙してイラク戦争に参戦したブレア(Blair)首相は「B.lair」(嘘つきB)とレッテルを貼られて散々批判され、政権陥落の一つのきっかけともなった。

 フランスでは、シラク大統領が国営放送のテレビ番組でスーパーマンの格好をさせて「スーパーマントゥ」(フランス語で「大嘘つき」という意味らしい)とからかわれた(もっともその後の大統領選挙では極右のル・ペンが躍進して第一回投票で二位になってしまったので、決選投票の時期には超良い人扱いだったらしいが)。

 責任をもって政治に携わるものが嘘をついたときに「嘘つき」と罵倒されるのは民主主義の国ではむしろ普通なのだ。竹中平蔵ほど、業界の利益を代表している人間が、政府の重要な役職につき、あたかも学者であって客観的な立場であるかのような扱いを受けることは不思議と言うほか無いし、上記のようにシラを切ってる(というか嘘をついてるのではないのか)のは当然追及を受けるべきだろう。しかし、日本では、そういう「嘘つき」という批判をすると、何故か批判をする側が下品ということになる。力を持つ者に甘いことばの文化は如何ともし難いが、まあ、それも一つの文化であろう。そうなら、もっと日本的にみやびにやろうではないか。

提案
1 竹中平蔵を「学者」と呼ぶのは止めよう。
2 政商であり、政府の審議会委員でもある竹中平蔵を「政商納言」と呼ぼう。
3 ついでに“民間”の立場から叙勲してあげよう。
   竹中平蔵
   正三位 政商納言に叙する。
   平成26年6月6日
   あなたによって被害を受ける“民間”有志

2014.6.6 分かりやすくするために若干追記しました。
posted by ナベテル at 13:53| Comment(4) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月29日

京都の繁華街のすき家の状態を調べてきた

 下記のようなツイートを発見したので、これは現場を踏まなければ!と思い、本屋に行ったついでに京都の繁華街のすき家の営業状況を調べてきた。



1 河原町三条店は閉店ではなく持ち帰りのみ
 さっそく河原町三条店に行ってみると、閉店ではなく、持ち帰りのみになっていた。2014年5月29日13時42分現在。
IMAG0012.jpg

 筆者が注目したのは、この張り紙は店舗独自の作成ではなく「金山TC」から送信されてきたFAXを使用していると思われることだ。
三条河原町店拡大.jpg

 「すき家 金山TC」で検索すると、名古屋の金山駅前に「金山トレーニングセンター」というのがあることが分かる。現場判断ではなく、経営の高いレベルの業務指示で店舗の運営形態を決定しているのかもしれない。

2 四条店はリニューアル中
 河原町三条店とならんで、京都の最中心部に近い四条店は、そもそも、リニューアル中だった。ここは業務管轄が「四条TC」となっているようだが、やはり、四条トレーニングセンターというのがあるようだ。
IMAG0013.jpg

 すき家は、京都の繁華街に最も近い二店舗が人手不足で回らなくなっている可能性がある。もっとも、四条木屋町店というのがあるのを後で知り、ここは調べていないので、状態は分からない。

3 烏丸丸太町店は張り紙をはがした後
 烏丸丸太町店は2014年5月29日14時01分現在、普通に営業していた。しかし、張り紙を慌ててはがしたような跡があり、朝の早い段階は何か表示していた可能性がある。
IMAG0014.jpg


4 その他店舗
 その他、烏丸押小路店は普通に営業していた。
 また、同じゼンショーのなか卯が筆者の事務所のすぐそばにあるのだが、数ヶ月前、店舗がいきなり汚くなり、返却棚に使用後のドンブリが積み重なっている現象を見たことがあるが、今は普通に営業しているし、今日も、特に問題はないようだ。以上です。
posted by ナベテル at 14:48| Comment(14) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月27日

PC遠隔操作事件、STAP細胞の件から考える弁護士のPR問題

 今朝、江川紹子さんが、PC遠隔操作事件の自己の報道について、総括する文章を発表している。こちら→「PC遠隔操作事件を巡る自己検証」。ジャーナリストや報道機関が、自分の仕事のやり方について常に振り返りながら前に進んでいく姿勢には好感が持てるし、あの事件における江川さんの報道は、国民が知りたくても知ることができなかった情報が沢山含まれており、特筆すべきものだったと思う。確かに、少々熱が入りすぎていた側面もあり、「これ、被告人が有罪になったときは大丈夫かな・・・」とは思っていたが、弁護士からすれば、刑事事件で結果が不本意な形でどんでん返しになる(その原因は多くの場合、人質司法による被告人の自白と、捜査機関の証拠隠しに由来する)ことなどいくらでもあるし、刑事弁護をやったことがある弁護士ならみんなそれで傷ついているので、特に問題だとは思わなかった(ちにみに、その後、佐藤博史弁護士のようにさらに高みを目指すのか、日本の人質司法に絶望して遠ざかっていくのかで対応は分かれる)。

1 刑事弁護人としては立派だったが・・・
 そして、佐藤博史弁護士が、PC遠隔操作事件の主任弁護人として、無罪を主張する被告人のために超人的に献身的な弁護活動を行ったことも論を俟たない。この点について、佐藤弁護士を批判する弁護士は少なくとも筆者は見たことがない。被告人の家庭事情を想像しても、経済的には全くペイしない、まさに採算度外視の奮戦だったのではないだろうか。
 しかし、「頑張った弁護人に同業者が後ろから鉄砲を撃つな」という批判は承知で言うが、佐藤弁護士のメディアに対する情報の流し方には、問題がなかっただろうか。今回は職業裁判官による裁判のはずだから、細かい事情を知らない外野のマスコミが捜査機関の偏った捜査情報リークに乗せられて歪んだ報道がなされたとしても、結果として被告人が無罪になれば何の問題もない。一方、被告人が有罪になれば、結局、被告人の社会的評価は地に落ちてしまう。つまり、メディアに被告人側の主張や公判の進行状況を語ることで、被告人の利益にはならないのである。
(なお、事前報道では極悪人のように描かれていた被告人が無罪になると急に「さん」付けになる現象は、村木事件などでもみられるが、在京の大手マスコミがこういった捜査機関のリーク情報に依拠して針小棒大な報道を行うことに関する反省はいつまで経っても見られず、大きな人権侵害を行っていると思う。)
 これまた、業界の大先輩に対する公然たる批判になるので若干言いにくいところもあるが、佐藤弁護士は刑事弁護についてはぬきんでたプロフェッショナルであっても、マスコミを通じた依頼者(後で民事事件についても語るのでこう記載する)のPR(パブリックリレーション。メディアに対してやる場合メディアリレーションとも言うようだ)について、何か特別な知見を持っているのだろうか。PRについては専門の学会があるほどで、大手広告会社にも広告部門とは別に広報(PR)部門が存在する。例えば電通のサイト。→「メディアリレーションズ」。筆者もパブリックリレーションについては本を2冊ほど読んだことがあるだけで素人なのだが、それにしても、佐藤弁護士のやり方は大丈夫なのだろうか、とずっと不安視していた。

2 江川さんの報道から見えた気がした弁護人の弱気
 PC遠隔操作に関する江川さんの報道は、被告人側の動向を詳細に伝えたからこそ、被告人側の姿勢の変化も見て取れてしまう。時系列を追って見ていこう。
 2013年3月2日の段階、佐藤弁護士は、被告人がC#というプログラミング言語を使ったプログラミングをできないことを強調していた。→【PC遠隔操作事件】処分保留で釈放、別件で再逮捕について弁護人が語る。この時点では被告人は起訴されておらず、弁護人は検察側の手持ち証拠はほとんど分からない。この時点で弁護方針の一端を明らかにすること自体、非常に危険だ。
 同年4月18日、事件が「公判前整理手続」(起訴後、法廷でやる公判期日の前に、クローズな場で、裁判所、弁護人、検察官が争点整理を行う手続)に付されると、佐藤弁護士は「検察が、(有罪立証に)全然自信がないということがよく分かった」と述べた。この頃の発言のトーンが一番高かったのではないかと思う。→【PC遠隔操作事件】公判前整理手続が決まる
 同年5月1日の勾留理由開示公判の後の記者会見では、佐藤弁護士は「すでに起訴済みのものも、証拠が曖昧なまま、(逮捕や起訴が)見切り発車されている。裁判所が、(捜査機関の)この無謀な暴走を止めて欲しい。勾留が解かれても、捜査には何の支障もない。司法への信頼を回復するためにも、裁判所の権限を発揮して欲しい」と述べ、相変わらず検察側の証拠の薄さを強調していた。→【PC遠隔操作事件】なぜ犯行場所を特定できないのか…弁護側が追及
 ところが5月22日、佐藤弁護士の物言いは変化する。第一回公判前整理手続の後の記者会見では、佐藤弁護士は検察官の証明予定事実について、「事件と被告人のつながりについてまったく記載されていないという「異常なもの」」と述べ、さらに以下のように述べた。長いが引用しよう。
 これに対し佐藤弁護士は、次のように批判を展開した。
 「3月2日の時点で、片山さんが犯人だという確証があるなら、その証拠を出すべきだ。『見込み逮捕』というのはあるが、本件は『見込み起訴』であり、(犯人であるとの証拠が見つかっていないうちの)見切り発車での起訴ではないか。(証拠が見つからないので)検察官は公判前整理手続きを引き延ばしのために使っている。こんなことは許されない。裁判所はただちに公判前整理手続きを打ち切って、第1回公判期日を指定すべきだ」
 さらに弁護側は、検察の対応は、「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」を保障している憲法にも違反する、と主張。
 検察側は、片山氏が「どこで」「どのPCを使って」犯行に及んだのかも明らかにしていない。起訴状では、「東京都内又はその周辺」「インターネットに接続したコンピュータから」としか書かれていない。これについて、「証明予定事実記載書」には何も書かれていなかった。弁護側は「被告人の防御権を著しく侵害している」として、裁判所にただちに公訴棄却の判断をするよう求めた。これについて、検察側は1週間以内に意見を書面で提出することとなった。
ここに現れる捜査機関に対する批判はごもっともなのだが、筆者が注目しているのは、この時点での検察側の主張・立証が相変わらずかなり弱く、佐藤弁護士がその点を批判している、という点だ。
 一方、この日はC#について「弁護人によれば、逮捕直後の取り調べで、片山氏は「使えるのはCとC++、それにJava。C#は研修で勉強したことはあり、他人が書いたプログラムを実行できるかどうかのテストをしたことはあるが、書くことはできない」と供述。」とあり、被告人側の主張が「C#によるプログラミングはできない」から「C#を研修で勉強したことがある」に後退していることが分かる。想像だが、検察が提出した証拠によって、後退を余儀なくされたのである。
 そして、最後の起訴がなされ、捜査が終結した後の、同年7月11日。佐藤弁護士の物言いはさらに後退する。前日に、検察官から書面が提出され、手持ち証拠の開示もされた。これを受けた佐藤弁護士は、記者会見で「片山さんと犯行を直接結びつける物的証拠は全くなかった」と述べた。→【PC遠隔操作事件】報じられてきた「決定的証拠」はなかった
 全体的な主張のトーンが「証拠が薄い」から「物的な直接証拠はない」に明らかに後退しているのである。これが、検察官による書面提出、証拠開示の後であることを考えれば、佐藤弁護士がそれらを検討し、トーンを後退させた(すなわち、被告人にとってそれなりに打撃となる証拠が提出された)ことが予想されるのである。
 その後、同年9月25日の記者会見の内容からも、検察の立証方針が、直接証拠(例えば包丁による殺人事件で被害者の血液が付いた包丁の柄の部分から被告人の指紋が検出された、とか)ではなく、犯人でなければしないと思われる様々な事情(間接事実)を山ほど積み重ねることで、被告人の有罪を立証しようとするものであることが分かる。→【PC遠隔操作事件】犯行に使われたのは誰のPCなのか?
 もちろん、筆者は今の人質司法のあり方や、捜査機関による証拠隠しには非常に批判的であり、これらを批判する佐藤弁護士にも100%賛同する。しかし、そのような批判を刑事裁判のただなかで行う中で、自然と弁護団の弁護方針とその変化が見てとれてしまうのである。この事件の証拠を全く見ていない筆者ですらそう感じるのに、佐藤弁護士にいわば証拠を“たたきつけ”反応を見ていたであろう、検察官たちは、この報道を見て何を感じたのであろうか。筆者は「お、効いてる、効いてる」と思ったのではないか、と想像する。

3 理化学研究所の件での代理人のPRについて
 STAP細胞の件に関する小保方氏の代理人弁護士も報道機関を利用した使用者批判を繰り返している。しかし、この件については、筆者がツイッターで「科学者でなく労働者の返事する君に 懲戒処分下す」と駄句をよんだ通りだと思っている。筆者は労働者側の労働事件を専門にしている(つもり)なので、労働者の地位を守ろうとする立場なら、代理人弁護士の主張(理研の調査手続の手続不備)を主張することは十分に理解できる。しかし、今、人類の未来を変えるかもしれない世紀の大発見をしたはずの研究者に求められていることは、そこではないはずだ。残念だが、記者会見を繰り返す度に、依頼者の社会的評価を落としているように思えてならない。

4 弁護士はメディアとの関わり方を研究しなければならない
 これは自戒も込めた主張だが、弁護士は、メディアを通じた事件の広報の仕方はもっと研究を重ねるべきだと思う。
 筆者もメディアを利用した世論へのアピールは何度もしたことがあり、上手く行ったこともあれば、上手く行かないこともあった。
 例えば(京都ローカルの話だが)、京都市教育委員会の肝いりで予算を傾斜配分し、教育研究の重点校とした某市立小学校で起きた先生の過労死事件については、労災認定後に年末のどん尻に記者会見をしたところ、地方ニュースでは大きく取り上げられ、年明け早々には、京都市教委が教員の働き過ぎを抑制するための通達を出した。また、筆者自身ではなく同僚の事件だが、ウェザーニューズ社の過労自死事件でも、提訴の記者会見後、世論が大きく動き、事件は一気に和解解決した。
 一方、筆者が担当した「元横綱がプロデュースするちゃんこ鍋屋」の事件は、マスコミ報道では残業代未払の点ばかりが強調される一方、営業譲渡後に労働組合員を選別解雇した不当労働行為の点や、それが京都府労働委員会で救済され、営業譲渡先の会社の雇用責任が認められる画期的な成果をあげた点などはほとんど報道されなかった。率直に言って、PRは上手く行かなかったのである。
 しかし、最近でも筆者が事務局長を務めている京都地裁の大飯原発差し止め訴訟について、地元の京都新聞社で「司法は生きていた」大飯差し止め判決 京滋訴訟に追い風も」という報道がなされたが、これは、たまたま、大飯原発3、4号機の運転を差し止める判決を出した福井地裁の判決日と、京都訴訟の口頭弁論の日が一致し、弁護団の内々では、福井地裁の判決で差し止め判決があり得ることは前々から語られていたため、事前に京都の司法記者のみなさんに口頭弁論期日のお知らせをして、“福井地裁判決にあわせた”報道で、京都訴訟の現状を報道して貰う工夫をしたものであり、結果的に狙いは当たった。この「何かの社会的なイベントのタイミングに合わせてそれに関連する自分たちのことを報道して貰う」ことは、マスコミがすぐに飛びつかない事件をPRするための初歩的な技術のように思うのだが、それが(結果的には)功を奏したのである。
 なんか、最後はたまたま上手く行ったことに関するただの自慢で終わってしまったが、上記二つの事件に関する弁護士の記者会見を見る度に、「これで良いのだろうか」と複雑な思いを感じるのである。
posted by ナベテル at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする